【レジリエンス研修とは?ビジネスに役立つレジリエンス強化策を解説!】
近年、ビジネスや健康経営の推進を図るうえで、 レジリエンスという概念が重要なキーワードととして注目されています。
新入社員の早期離職や、従業員のメンタルヘルス不調にお困りのご担当者様は多いのではないでしょうか。
レジリエンスの強化はそうした従業員の困りごとの解決を図るうえで、非常に役立ちます。
この記事ではビジネスに役立つレジリエンスの概要やその測定尺度、レジリエンス強化を健康経営に活かすためのガイドライン活用などについて紹介します。従業員のレジリエンス強化に悩むご担当者様のご参考にしていただければ幸いです。
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【レジリエンスとは?】
レジリエンスという概念は、もともと物理学で使われる物質の弾力やしなやかさ、跳ね返りの力を意味し、それが心理学や経営論などにも使われるようになったのです。
心理学では、レジリエンスを「困難な状況に人が直面した際に、それに適応する能力」としています。
経営論では、「個人がストレスに抵抗する力や組織そのものが危機に直面した際に経営状況を復元する力」としてビジネスレジリエンスに定義づけられています。
例えば、長年勤め上げた社員と新入社員ではレジリエンスによる環境への最適化の能力が異なります。
新入社員の中には厳しい状況に耐えられずに精神の最適化を諦めて辞めてしまうこともよくありますが、すでに困難な状況を何度も経験してきた社員はそうではありません。状況に折れることなく自身を最適化して精神を元の状態に復元させます。
このレジリエンスの能力をどの程度持っているかで、会社を早期に辞めやすいかどうかも変わってくるため、離職防止のための重要な概念となります。
健康経営を目指す企業は、従業員が最初から持つレジリエンスの強度だけに頼るのではなく、いかに従業員のレジリエンスを高めるかの工夫や、組織的な取り組み(研修など)が不可欠なのです。
➢ レジリエンスを高める研修事例
最近では、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の影響から、これまでの健康に関する施策だけでは不十分と考える企業が続出しています。
例えば、グーグル社は「レジリエンストレーニング」を考案し、「ミート・ザ・モーメント(Meet the Moment)」の動画コンテンツを従業員に提供しました。他にも「燃え尽き症候群」を防ぐプログラムなどをつくっており、レジリエンスを高めることの重要性をしっかりと認識していることがわかります。
丸井グループでは、折れない心とウェルビーイング(健康と幸福)の源泉として経営層や従業員たちへのレジリエンスプログラムの実施をしています。その結果として、実際にストレス度が解消し、ワークエンゲージメントが向上するなど効果を上げています。
➢ レジリエンス尺度の3要素
従業員のレジリエンスを把握するためには、具体的な調査で現状を把握することが必要です。レジリエンスを測定するレジリエンス尺度には、精神的回復尺度として「新奇性追求」・「感情調整」・「肯定的な未来志向」の3要因が該当します。
まず「新奇性追求」は新しいことにチャレンジする主体的な力のことです。
次に「感情調整」は自分の感情を周囲の状況や環境に適応してコントロールし、一時の感情に流されない力です。
最後の「肯定的な未来志向」は未来に対して肯定的な期待を持ち、悲観や怠慢などに流されない力です。
これらを踏まえた質問項目とその回答結果を分析し、その人のレジリエンスの能力を確認することができます。レジリエンスの高い従業員は、以上の要素において高い評点になります。
従業員のレジリエンス強化を図るうえでは、上記の評定によってしっかりとレジリエンスを見える化(点数化)しながら、改善のためのPDCAを回しましょう。
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【「健康投資管理会計ガイドライン」を活用する】
健康経営とレジリエンスに関連し、2020年に経済産業省の「健康投資管理会計ガイドライン」が策定されています。
これは、すでに健康経営に取り組んでいる企業に対して具体的な効果を示す継続的実施の枠組みや市場などの外部との対話、評価の指標(コストや成果の目安)などについて示したガイドラインです。
健康投資を最大限発揮し、健康経営を維持するためには、経営陣や従業員のレジリエンスの向上が不可欠です。
そのためには、レジリエンスを深く理解し、実施する意味を共有することで、レジリエンス研修などの研修効果を社内で高めていく必要があります。
➢ レジリエンスを健康資源(ストック)で蓄積
しかし、「健康投資管理会計ガイドライン」においてレジリエンスを高めるための経営計画の策定や風土の改革などは無形資産という扱いとなり、財務上では減価償却の対象にはなりません。
一方で、社内事務の整備や健康のための社内システムなどは財務上において減価償却の対象となり、「健康資源(ストック)」が蓄積します。形に残り、それが従業員の健康を維持するのに役立つものであるのなら当然です。
PDCAを回すとき、ストックの状態を確認して、結果を調整するための計画の見直します。健康経営を維持し、その過程でレジリエンスやヘルスリテラシーの能力も高まるのです。
➢ ガイドラインの活用で気をつけること
注意点としては、すでに健康経営を初めている企業を対象としたガイドラインであって、まだ始めていない企業はガイドラインに含まれていません。
そのため、「企業の「健康経営」ガイドブック」などを参考にまずは健康経営を始めて、その後に「健康投資管理会計ガイドライン」を参照し、PDCAを回す、評価方法や外部との対話をすることで自社の健康経営に活用するのがよいでしょう
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【健康投資としてのレジリエンス研修】
健康経営に必要な健康投資として、従業員のレジリエンス強化は欠かせません。
従業員のレジリエンスを強化する施策のひとつとして、企業内で行うレジリエンス研修があります。
➢ レジリエンス研修が目指すもの
レジリエンス研修の目的はもちろん、従業員のレジリエンス強化であり、折れない心をつくり、メンタルタフネスを鍛えることにあります。
そして、レジリエンス研修に使うプログラムを考える際のポイントは、レジリエンスについての研究をしっかりと押さえ、そこにポジティブ心理学や組織心理学の知見を上手く組み合わせることです。
ここでは、起こったことを受け入れる精神力をつくるだけでなく、逆境を乗り越えていけるようなメンタルになるトレーニングを目指します。
そのためには、従業員が自身のメンタル状態を知り、環境に最適化し立ち直る能力を獲得することを手助けしていく必要があります。
従業員が自身のメンタル状態を知ったり、内省力を高めるためには、ストレスについてのメンタルヘルスセミナー等も有効です。
社内でプログラムの構成づくりを完結させるのではなく、監修に精神科医や臨床心理士などの専門家を当てて、より効果の高いものを実施することも有効でしょう。
また、レジリエンスを見える化(点数化)することで社員のレジリエンス向上のPDCAが回しやすくなります。素早く改善点を模索し、次の施策に活かせるようにするわけです。
教育コストに対して、社員のメンタルヘルス不調が減る・従業員エンゲージメントが高まる・離職防止につながるなど、十分な投資対効果も期待できます。
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【まとめ】
いかがだったでしょうか?本記事では従業員のレジリエンスを強化する重要性やレジリエンス研修について紹介しました。
従業員への健康投資に注力すべく、多くの企業でレジリエンスについてのプログラムや研修が実施されており、成果を上げています。新型コロナウイルス感染症の蔓延で健康を強く意識する会社も増えており、今後もレジリエンス強化は重要なテーマとなるでしょう。
レジリエンス研修を通した従業員のレジリエンス強化や離職防止についての、ご参考になったならば幸いです。
Fairwork Surveyでは「レジリエンスの見える化(点数化)」 など、 精神科医・臨床心理士をはじめとする専門家チームが、健康経営に必要不可欠な指標を調査し、社員の皆様が活き活きと最高のパフォーマンスを発揮することができる企業づくりをご支援いたします。
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