【キャリアプランとは?】キャリアプランシートの書き方や例文紹介
社会人として働き続ける年数は人により異なりますが、大学卒業から定年まで働いた場合、40年以上仕事をすることとなります。40年を漫然と過ごさないためにも、あらかじめ先を見据えたキャリアプランをつくり自分がどのような「職業人」になるかイメージしておくことが重要です。
今回は、キャリアプランを考えるうえで欠かせない要素やキャリアプランシートの作り方を紹介します。
キャリアプランが思いつかない時や、悩んでいる際の参考にぜひチェックしてみましょう。
【キャリアプランとは】どんな職業人として成長したいか
キャリアプランとは、今後どんな職業人として成長したいかを考えた計画のことを指します。
働くことの意義・目的を見つめなおし、将来の理想像を明確にしておくことがキャリアプランづくりだと言えるでしょう。ただ理想を掲げるだけでなく、理想と現実のギャップまで視野に入れて努力の方向性を定めることもキャリアプランに含まれます。
類似概念である「キャリアパス」「キャリアデザイン」「キャリアビジョン」との違いをみてみましょう。
➢ キャリアパスとは?
キャリアプランと似たような言葉として、「キャリアパス」が挙げられます。
キャリアパスは特定の職種・役職に就くための過程を表したものであり、出世のモデルケースとして扱われることが多いです。
既に出世している先輩社員が歩んできた過去を参照するときによく使う言葉であり、未来を見据えるためのキャリアプランとは性質が異なります。
➢ キャリアデザインとは?
キャリアデザインは、自分のキャリアプランを主体的に設計するための行動を指します。
キャリアプランが具体的なキャリア目標に沿って「努力方針を決定すること」であるのに対し、キャリアデザインはそもそもの「キャリアを考える方法を学ぶこと」と捉えられます。
そのため、高校生・大学生などまだ職業に就いていない人にも用いられる言葉です。
➢ キャリアビジョンとは?
キャリアビジョンとキャリアプランは、仕事に対する将来の理想を考えるという点で一致しており、おおきな違いはありません。
強いて言えば、キャリアビジョンはあくまでも理想とするキャリアを掲げるところまでがゴールだと言えるでしょう。
キャリアプランは、キャリアビジョンとして抱いた理想を実現するために何が必要か、具体的な行動にまで落とし込むことが大きな違いです。
【キャリアプランシートの書き方】
次に、キャリアプランシートの書き方をステップ式で紹介します。キャリアプランが思いつかないという方や、何から着手すればいいか分からないという方は、下記に沿ってひとつずつ実行してみましょう。
1. 徹底的に自己分析する
まずは、徹底的な自己分析から始めます。
過去に担当してきた業務・数値実績・経験・スキル・保有資格などを洗い出し、強みとなる部分を探っていきましょう。また、どんな業務にやりがいや楽しさを感じたか、反対にどんなときにストレスを感じたかリストアップします。
過去の振り返りと現状の把握を同時進行でおこない、自分の適性をつかんでいくことがポイントです。
- 強みとなる部分(実績・スキル・経験・資格)
- やりがいや楽しさを感じる業務
- ストレスを感じる業務
2. 今後の理想を思い描く
次に、仕事を通して得られる理想を思い描きます。どれくらいの年収を得たいか、どんな仕事がしたいか、どんな評価を得たいか、将来ありたい姿をイメージしてみましょう。
また、5年後・10年後・20年後など時間軸を設けて理想を設けておくことも効果的です。結婚・出産・住宅の購入・介護などライフプランがある場合は、仕事とのワークライフバランスを踏まえて、具体的な目標に落とし込んでおくとよりイメージしやすくなります。
- 5年後のありたい姿(仕事面・プライベート面)
- 10年後のありたい姿(仕事面・プライベート面)
- 20年後のありたい姿(仕事面・プライベート面)
3. 理想と現実のギャップを明確にする
「2.今後の理想を思い描く」でイメージした理想と、今の自分が置かれている現実とのギャップを明確にしていきます。何が足りなくて今のポジションにいるのか分かれば、努力の方向性が固まりやすくなります。
キャリアプランシートをつくるときに陥りがちなミスとして、「理想を掲げるまで」で終わってしまうことが挙げられます。
自分が今後どうしたいかをイメージしたうえで、具体的な行動計画へ落とし込むまでが目標なので、しっかりと自分に足りていない部分や、今後必要なスキルなどを明確にしましょう。
- 理想の自分と現在の自分との間にあるギャップ(スキル・経験・収入)
- 理想の自分になるために、今後必要となる経験やスキル
4. ギャップを埋めるための施策を考える
「3.理想と現実のギャップを明確にする」で判明した内容をカバーするため、どんな努力が必要か、具体的な行動をリストアップしていきます。
社内公募されているポジションに応募するなどすぐに行動できる施策から、3年後の国家試験合格を視野に入れて勉強するなど先々を見据えた施策まで、内容はさまざまです。
短期的に効果が現れやすいものと、長期的な努力が必要なものとに分けてイメージすると分かりやすくなるでしょう。
- 短期の行動目標(すぐ始められる行動)
- 中長期の行動目標(数年間かけて継続的に続ける行動)
【要素別】キャリアプランシートの書き方・例文
ここからは、キャリアプランシートに記される例文を紹介します。施策を要素別に細分化してピックアップしますので、自分が目指す理想に近いものから優先的にチェックしてみましょう。
➢ 目標:保有スキルの専門性を高める
- 行動:
エンジニアとしてのスキルを高めるため、月に2回はオンライン講習会に参加する。特にインフラエンジニアとしてスキルアップできる講座が開講されていれば積極的に参加し、実務で通用するレベルに落とし込む。 - 行動:
戦略経理としての役割を持ちたいと考えていることから、財務諸表を読み解くスキルを身につける必要がある。終業後の自習をするとともに経営会議の議事録に目を通し、経営メンバーの考えや現在の財務状況に関する認識を共有しておく。
自分がこれまで担当してきた仕事に通用するスキルを育成し、専門性を高めていくキャリアプランです。どちらかというと、マネージャーよりプロフェッショナルとして常に現場の最前線に立ち続けたい人向けだと言えるでしょう。
➢ 目標:管理職として昇進する
- 行動:
営業部長として昇進するために必要なこととして、先輩社員のキャリアパスを参考にしてみたところ、1年程度支店売上トップを独走し続けている人が多いことに気がついた。まずは営業成績を上げることで評価されるよう努力し、特に見込み客の発掘に力を入れる。 - 行動:
複数店舗を管理する販売マネージャーとなるため、これまで顧客とのコミュニケーションや商品の性質・特徴理解に割いていた勉強時間の一部を店舗マネジメントの学びに充てる。仕入額・販売実績・店舗人件費など数値を見る癖をつけ、健全な経営に役立てる。
管理職として昇進・昇格するためのプラン目標例です。年収アップを叶えたい人と相性がよく、自社の人事評価制度を理解したうえでキャリアプランを練ることが重要です。
➢ 目標:社会貢献と仕事を結びつける
- 行動:
チームメンバーに感謝されることが仕事の喜びにつながるため、主力メンバーを裏からサポートするような仕事に注力したい。今は営業として営業活動も事務も兼任しているが、営業事務部隊を編成することにより効率のよい営業を助け、数字面でも精神面でも支えとなるような存在になりたい。 - 行動:
介護ヘルパーとして長年現場に立ち続けたノウハウを活かし、50歳までに自分で介護施設を立ち上げたい。自治体の指定や許可など事務回りの手続きに疎いため、まずは設備・人員など介護保険業者として必要な基準を調べながら情報収取していきたい。
社会貢献や人のサポートに楽しさを感じる場合、年収や評価など物的なインセンティブよりも自分のやりがいを重視してキャリアプランを立てることも可能です。具体的にどのような点にやりがいを感じるかを深堀りし、会社や社会に貢献するための具体的な行動をイメージしていきましょう。
➢ 目標:プライベートとのバランスをとる
- 行動:
子育て・家事と仕事を両立できるよう、キャリアチェンジしたい。現在の仕事は夜まで店舗に立ち続けることが必要なため、社内公募制度を活用して本社のバックオフィス部門への異動願いを申請する。ゆくゆくは昼型の勤務にシフトし、仕事と家庭を両立させて長期的に働き続けたい。 - 行動:
フリーランスとして独立するための準備をはじめ、副業からスタートしていく。35歳までにはフリーランスで独立していけるよう単価交渉をおこない、月最低40万円の収入を得て地元での生活に戻る。
結婚・妊娠・出産・育児・介護など家族関係のライフプランがあると働き方に影響しやすいため、あらかじめキャリアプランに落とし込んでいくとよいでしょう。
また、地元に帰って働く・海外に移住する・マイホーム資金を貯めるなどの住環境の理想がある場合も同様にキャリアプランへ落とし込み、無理なく働ける環境づくりに努めましょう。
【まとめ】
キャリアプランシートをつくることは、職業人として自分がどう成長し、どう理想を叶えていきたいか行動指針に落とし込むことにつながります。
行き当たりばったりでキャリアがブレてしまうことのないよう、自分の将来についてゆっくり考える時間を設けてみるとよいでしょう。
会社が主催しているキャリア研究や、自由に参加できるイベント型のセミナーもあるため、将来の見通しがまだない場合には、一度参加してみることをおすすめします。