小さなSOSを拾いあげることで、メンタルクリニックを受診する職員が減少

社会福祉法人 聖華

業種保育園
課題メンタル不調者に気づける仕組みの必要性と職員の定着
interviewee

社会福祉法人聖華 副理事長 吉浦様

社会福祉法人聖華では、千葉県内と都内で計5園を運営し「豊かな情操」「丈夫な体」「広い社会性」「確かな基礎能力」を保育目標として掲げています。

「FairWork survey」を導入し約3年が経過し、改めて副理事長の吉浦様に、「FairWork survey」を導入しての変化について伺いました。

(2023年8月29日 インタビュアー:フェアワーク広報) 

導入当初のインタビューはこちらから

━━「FairWork survey」を導入した経緯と
サービス導入前にあった組織の課題を教えてください。

近年、保育業界においてメンタルに不調を抱える職員が増えているといわれています。当法人でもここ10~15年くらいで、働く上で不調を訴える人や、実は不調を抱えながら入職した人が後になって判明するといったケースが見受けられるようになりました。

前職からのトラウマや、職場・生い立ちによる悩みなど、多方面からの悩みを耳にすることが増え、そこに寄り添っていくためにもっとできることはないかと模索していたところ、顧問医としてかねてよりお世話になっていた吉田先生がパルスサーベイの「FairWork survey」を開発されたことを知りました。

「SOSをなかなか出せない職員の悩みに気づいてあげられるようになりたい」
そんな思いから導入を決めました

私たちが目指すのは、実際に職場で困っている人を法人として手助けし、気持ちよく仕事ができるようにサポートすることです。ですから、実名でのサーベイというところも、導入の決め手の一つとなりました。匿名のアンケートという形式だと得られない効果に魅力を感じたのです。

職員のキャリアアップのため、充実した研修体制を整えている
(写真提供:社会福祉法人聖華)

━━サービスを使ってみて意外に感じたことはありますか?

ツールの違いによるシグナルの発しやすさが格段にアップしたことですね。

私たちはメンタル面のケアを大切にしている法人です。日ごろから「何かあったら相談してね」といった声かけをよくするようにしています。意識的に役職と職員が話す機会を多く設けているため、そうした声を全て拾えていると思っていました。

でも「FairWork survey」を導入してみると、思いがけない結果に直面しました。

職場で声をかけた時はニコニコして悩み相談がなかった職員から「FairWork survey」上で声があがったのです。当法人は職員の8割近くが、20〜30代の若手です。そうした若年層メインであることから、このような結果がより顕著になったのかもしれません。

「FairWork survey」によって、我々が思っていた以上にストレスを感じている職員が多いことがわかりました。SOSのシグナル発信に対するハードルも下がりました。この結果は、私たち役職者世代からすると目からうろこの発見でした。

20〜30代の若手職員の中には、対面では素直に打ち明けられないけれど、「FairWork survey」を利用して文字にすると、声を発しやすい方もいます。

具体的な操作は本当に手軽で、スマホを利用して1分程度で回答することができます。導入時もGoogle Formを活用し、URLをQRコード化。職員各自のスマホから情報を送信してもらい一括登録という流れだったため、スムーズに導入することができました。

また、回答内容の把握・分析も手軽で、管理者側からみても使いやすいプラットフォームであると感じています。

━━「パルスサーベイ」を使ったことで組織改革をした施策を教えてください。

私たちは「進化する法人」として、福利厚生の手厚さや働きやすさの改善に努めています。全国的に保育士不足で人員の確保が難しくなる中、当法人で働くことに魅力を感じてもらうためには、ワークライフバランスを向上させることは欠かせません。

「FairWork survey」から集めた「声」は、より実態に即した対策の根拠となります。多くの生の声が届くことで、管理者側としても「もっと一人ひとりの職員を手厚くサポートしたい」と考えるようになりました。「FairWork survey」は確実な根拠を示し、最短距離での改善にトライできる、背中を押してくれる存在です。

「パルスサーベイ」のいいところは、記名式なところですね。職員の声に個別に対応できることはもちろん、全体の施策でも「こういう声に対しての対応です」と説明しやすくなりました。新しい施策を取り入れるにしても「職員の声に応えているのだ」とわかりやすい形で伝えられるようになったのは収穫です。

例えば書類関係のデジタル化でも、ただ「デジタル化しました」と伝えると、組織の都合で新しい何かが導入された、押し付けられたように感じることがあるでしょう。しかし「職員のこういう声に対応してデジタル化しました」と言われたら、どう感じるでしょうか。職員のために改善したと伝える方が、受け手にも共感されやすいと感じています。

職員一人ひとりの声がきちんと届き、自分たちの声が組織改革につながっていると実感できる組織は、風通しが良く社内コミュニケーションが活発化します。役職者と一般職員の間にも信頼関係が生まれ、法人への愛着心もはぐくまれます。一人ひとりの「声」を聞き、それに基づいた改善を行うことが、より強い組織形成に欠かせないと感じています。

「FairWork survey」導入に際しても「法人の都合」や「何かを調べる」ために新しいシステムを導入すると伝えるのではなく「保育士の健康と幸福のために実施する」と伝えることで、職員に広くプラスのイメージを抱いてもらえるようになりました。

様々な活動や遊びを、子どもだけではなく職員も一緒に楽しんでいるのが、“聖華らしさ”。
職員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいる(写真提供:社会福祉法人聖華)

━━サービス導入後の変化について教えてください。

なんと、ここ2~3年ほど、顧問医である吉田先生のメンタルクリニックにかかる人がいなくなったのです。

「パルスサーベイ」で悩みが小さいうちに会社に伝えることができるので、ストレスや悩みの芽をすくい上げているのでしょうか。大きな疾患を抱える人が、いなくなりました。非常に嬉しい大きな収穫です。

しかし実際に「FairWork survey」でSOSを出している人のリストを見ると「え、この人が?」と驚くこともあります。そういう場合は特に、ケースバイケースで慎重な対応を心がけ、誰が・どのようにアプローチするのか、方向性を決めて行動するようにしています。

━━吉田から受けたアドバイスで役立ったものを教えてください。

パルスサーベイによるものではありませんが、職員の勤務状況がメンタル的な不調なのか、甘えなのかを医学的見地からしっかり判断していただけるので、安心して対応できることですね。

一例を上げると、遅刻の回数が増えてしまった職員がいました。その原因がストレスなのか、悩みがあるのか甘えなのか、私たちだけで判断することはとても難しいです。しかし甘えであった場合、きちんと指導しなければ、他の職員との兼ね合いも悪くなってしまいます。そこで吉田先生のところでしてはどうかと促したところ、結果的にメンタルの不調ではないことがわかり、的確な指導を行うことができました。その職員も現在では一人前の保育士として成長し、元気に活躍しています。

吉田先生の診断をもとに安心して対応できたこと、またその職員が無事に成長できたことにとても感謝しています。

━━今後どのように組織をよくしていきたいか、未来に向けてお聞かせください。

「FairWork survey」を利用することで、これまで悩みや思いを上手くすくい上げることができていなかった職員に対しても、しっかり対応できるようになったと思います。従来とは違ったアプローチを通じて、職員満足度や幸福度のより一層の向上を目指していきたいです。

「サーベイに書いたら管理側が相談に乗ってくれ、解決した」という実績を積み重ね、安心して働くことができる、いい流れをつくっていけたらと思っています。大切なのは職員と役職、組織の間に信頼関係を築くこと。その先に法人のさらなるステップアップがつながっていくのではないかと思っています。

何か困ったことが起きた時、「パルスサーベイで救いを求めよう」「助けを求めたら組織は対応してくれる」といったことが職員の間で自然と感じられるようになり、安心して働けるようになったら嬉しいですね。

「パルスサーベイ」は職場の人間関係で悩みを抱えることが多い福祉や教育業界に向いているサービスだと思います。小さなうちから悩みをすくい上げ、ていねいに対応することで職員の定着率の向上や人手不足の解消に役立ってくれるのではないでしょうか。

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