メンタル休職者とのやり取りで意識すべきポイント【メール例文付き】
怪我・病気・メンタルヘルスが原因で休職する社員が出た場合、会社側は復職に向けて全力でバックアップする必要があります。しかし休職中のフォローを誤ってそのまま退職につながったり、復職してもまた休職してしまったりする事例が相次いでおり、社員・会社どちらにとっても悩みの種となっています。
今回は、休職者とのやり取りで意識すべきポイントを紹介します。後半には休職者とのやり取りに関するメール例文も掲載するため、参考にしてみましょう。
【休職から復職までのステップ】
休職から復職までのステップは、基本的に以下の通りに進むことが多いです。
- 休職の申し入れ
- 休職に向けた準備・引継ぎ・手続き
- 休職開始
- 休職中のケア
- 復職判断
- 復職開始
- 復職後のケア
特に会社側が悩みやすいのは、「4.休職中のケア」や「5.復職判断」についてです。
「早く復帰して戦力になってほしい」という気持ちと「無理せずゆっくり休養してほしい」という気持ちとのギャップが起きやすく、上司や同僚間でも意見の食い違いが出ることがあるでしょう。
しかし、リワークプログラムの期間が数か月単位で組まれていることから分かる通り、休職中は体調を第一に経過に合った対応をする必要があります。会社都合を押し付けすぎないよう配慮し、適切にサポートしていきましょう。(⇒ 休職者対応に関するまとめ資料をダウンロード)
【休職者とのやり取りで意識すべきポイント】
下記では、休職者とのやり取りで意識すべきポイントを解説します。よかれと思って実行したサポートが却って休職者を追い詰め、ストレスの増大や退職につながってしまうことのないよう、配慮しましょう。
➢ 休職者が安心して休めるよう制度説明を丁寧にすること
休職の申し入れがあったときには、制度説明を丁寧かつ時間をかけて実施します。
就業規則の読み合わせなど基本的な項目はもちろん、本人の希望や不安の種を聞き取るヒアリングに力を入れてもよいでしょう。必要があればカウンセラーや産業医も参加する面談の場を設け、専門的知見を得る方法もあります。
ただし、就業規則に休職の項目がない場合、会社からの一方的な命令で休職させるとトラブルに発展する恐れがあります。また、休職期間や診断書の提出義務に関する項目についても、同様のことが言えるでしょう。
ルールが明記されていない場合は休職者としっかり相談し、お互いに納得できるラインを見つけていく必要があります。
➢ 定期的に連絡を取り、放置しないこと
休職を開始してからも定期的に連絡を取り、放置しないよう意識しましょう。
仕事から離れると一気に孤独感を覚える人が多く、社会から孤立したような感覚に襲われる人が多いです。
「何ヶ月も連絡を取っていない職場には戻りづらい」
「ずっとやり取りしていなかったのに今更どんな顔をして戻ればいいか分からない」
という不安が膨らみ、復職に向けたエネルギーが失われてしまうことも難点です。
そのため、定期的に連絡を取るのが望ましいとされています。気軽なコミュニケーションから、健康診断・確定申告のアナウンスなど事務的なものなど、内容は何でも構いません。「気にかけてもらえている」ということそのものが、心理的安全性の向上に貢献します。
➢ 過度に連絡しプレッシャーを与えないこと
前項と一見反する内容にも思えますが、過度に連絡しプレッシャーを与えないことも大切です。
毎日毎週のように連絡がくると、休養に専念しづらくなってしまうでしょう。「オンラインなら会議に参加できる?」と業務の依頼を出すことも、当然NGです。
特にメンタルヘルス休職者には大きなプレッシャーとなるケースが多く、「仕事をしないと居場所がなくなる」「早く復帰しろと言われている」という誤った認識を与えてしまいかねません。
健康診断や確定申告など事務的な連絡を除き、おおまかな連絡頻度を決めておくとよいでしょう。頻度が多すぎると負担になるため、一般的に、月に1回程度の定期連絡であれば、お互いにストレスなく様子を伺いやすく望ましいでしょう。
もちろん社員側からの質問・相談があればいつでも歓迎するスタンスを示し、連絡する心理的抵抗を下げておくことも大切です。
➢ 復職可否の判断は医師および医師の意見を尊重すること
復職可否の判断は、原則として医師の意見に従うとよいでしょう。次に本人の意向を重視し、最後に会社側の意向を重視します。
原則として、下記いずれかに当てはまる場合は復職を認める必要があるため知っておきましょう。
- 休職前の業務を通常通り実行できる健康状態にまで回復したとき
- 完全には回復していないものの、しばらく業務ペースを落とすなど配慮期間を設ければ、休職前の業務を通常通り実行できる健康常態にまで回復しそうなとき
- 休職前の業務には復帰できないものの、同職種で同程度の仕事ができそうで本人からの同意が得られているとき
ただし、復帰を焦るあまりまだ休養が必要であるにも関わらず「復帰したいです」とお願いされるケースも存在します。反対に、復職できそうな状態でありながら「大事を取ってもう少し復職したい」など期間の延長を申し出られるケースもあるでしょう。
本人と会社の意向がすれ違うときは、やはり医師の判断に従うのがおすすめです。リワークプログラムを導入するなど無理な復職にならないよう十分配慮し、少しずつ職場環境に慣らしていきましょう。
【休職者へのメール例文】
最後に、休職者へ送るメールの例文を紹介します。
メールやチャットであればお互いの都合がいいタイミングで確認しやすいため、緊急の連絡を除いてメールでやり取りしてもよいでしょう。
望ましいメール例文
休職中でもあっても無理に形式張ったメールにせず、いつもの業務連絡と同じトーンでコミュニケーションを取るとよいでしょう。社外の取引先に対応するような文章では血の通ったやり取りにならず、そっけなさを感じることが多いです。
一言添えたいときの例文として、下記を参考にしてみましょう。
- 無理せず療養に専念してくださいね。
- 回復を焦らず、まずはゆっくりと体と心を休めてください。
- 休職期間中でも相談・質問があればいつでも連絡ください!
- 傷病手当の手続きなどでわからないことがあれば、遠慮なくお知らせください。
- 体調の確認のために、月に一度、こちらからもご連絡しますね。
- 返信が難しい場合は、電話でも大丈夫です。
- それでは、引き続き無理なさらずお過ごしください。
基本的には療養に専念してもらえるよう声かけをするのがよいでしょう。
その一方、現在の体調について主治医からどのように言われているかや、傷病手当金の申請に必要なやり取りなど、月に1回程度は連絡する旨を、本人にあらかじめ伝えておきましょう。
望ましくないメール例文
励ましているつもりでも、休職者にとって大きなプレッシャーとなる声かけが存在します。場合によってはパワハラだと受け取られてしまうこともあるため、注意しておきましょう。
下記では望ましくない声かけの一例を紹介します。
- 早く元気になって復帰してくださいね
- 頑張ってください!応援しています
- うつ、まだ治らないの?
- 休職中って遊べる機会多そうでいいね
つまり、配慮に欠ける言葉は望ましくないと言えるでしょう。
「早く元気になって」「まだ治らないの?」とプレッシャーを与える言葉や、「日中暇じゃない?」「遊べる機会が多くていいね」「頑張って!」など療養の苦しみを理解しようとしない言葉はNGです。
また、不調の回復段階に応じて、意識すべき点は変わってきます。メンタルヘルス不調の一般的な回復プロセスと、回復段階に応じたポイントを意識して、メールを作成しましょう。(⇒ 回復段階に応じた詳細なテンプレートをダウンロードする)
【まとめ】
休職者が出たときは、どう対応していいか上司・部下・同僚など全メンバーが迷ってしまうでしょう。無理にプレッシャーを与えないようにすることが大事とわかっていても、却って腫れ物に触るような扱いをしてしまうなど悩みも尽きません。今回の内容を参考に適切な声かけをおこない、孤独感のない休職期間を過ごせるよう対策していきましょう。
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