【ヘルスリテラシーとは?】健康投資や効果測定の方法を解説!

ヘルスリテラシー

近年、経済産業省が旗をふり健康経営銘柄健康経営優良法人などの認定制度への参画企業が急増しています。

多くの企業が健康経営に注目し始めている背景には、労働人口の減少や、医療費の増大生活習慣病などによる死亡者の増加などがあります

多くの経営者にとって事業の持続的な発展のために従業員の健康への投資(健康投資)が必要不可欠な命題となっているのです。

今回はそんな健康経営の推進に求められるヘルスリテラシーと健康投資の考え方や、効果測定の方法についてご紹介します。

目次

【ヘルスリテラシーとは】

ヘルスリテラシーとは

ヘルスリテラシーは、「健康に関する情報を取得して、理解・評価・活用するために必要な能力」のことです。

一般的に、リテラシーは読み書きをするための能力として知られており、類似した言葉に「情報リテラシー」や「ITリテラシー」などがあります。

ヘルスリテラシーの場合、健康を左右する医療・健康情報を正しく使いこなせることに重点がおかれています。

ヘルスリテラシーという言葉は1990年代にいわれるようになり、2012年には共通した概念として広く定着します。

それがQOL(生活の質)を高めるためのヘルスリテラシーです。

➢ ヘルスリテラシーは仕事にも影響する

ヘルスリテラシーは後に企業の健康経営を推進するうえで重要な概念として知られるようになります。

企業にとっては、従業員が健康で質の高い生活が送れることはすなわち、能率・意欲の向上に繋がります。逆に、ヘルスリテラシーが低いと健康が脅かされ、生活の質は低下します。

その結果、従業員が働けない状況に陥ったり、能率・意欲が下がって仕事の生産性の低下に繋がってしまうのです。

しかし、企業では働き盛りの忙しい社員が積極的に健康情報を集めて医療関係者に話を聞くなどしてヘルスリテラシーを高める機会は少ないといえます。最近は、体調不良や違和感などが出ても病院へ行かない人も多いとされます。

働きすぎや仕事の疲れと判断し、内臓の不全症状やガンなどの発見の遅れに繋がることも珍しくありません。

健康経営を推進する上では従業員のヘルスリテラシーを向上する場・機会を提供することが重要となるのです。

➢ ヘルスプロモーションが大事なワケ

ヘルスリテラシーを高めるうえで大事なことは、正しい最新の情報を自分の健康や医療の向上に使えるように集め見極めることです。

インターネットの記事やSNSなど、偏った情報からのみで自分の健康を断定的に判断してしまうことは危険です。

中でも、「ヘルスプロモーション」と呼ばれる働きかけでは、ストレスや環境を変える能力や参加する意思などに関係してきます。実際、職場や過剰労働などがあるとストレスとなって、健康を脅かします。

それをヘルスリテラシーを高めて正しい知識に基づいた対処を施すことで、健康を害する環境を取り除いたり、改善したりすることができるようになるのです。

また、ヘルスリテラシーは一方的な健康・医療情報の収集ではなく、コミュニケーションも大きく関わってきます。特に環境変化などではこの能力が不可欠となるため、自主的な行動としてコミュニケーションを取れることが、ヘルスリテラシーにつながる大事な能力の1つです。

➢ 情報過信で間違った判断をしないために

ただし、注意すべき点としてヘルスリテラシーはあくまでも情報の最適な選択でしかないことです。

医療関係者でも知らない情報や医師などでも判断に迷う症状や原因の断定などは、ヘルスリテラシーでそれら専門家の判断を超えることはできません。

確かにセカンドオピニオンや医師・病院の見極めなどは常識的にも重要なこととされていますが、ヘルスリテラシーを高めたからといって正確な判断をいつもできるとは限らないことを頭の片隅にとどめておく必要があるのです。

➢ 測定するには尺度を理解する

ヘルスリテラシーの測定方法としては、質問による回答で尺度とする手法があります。質問に対して「とても簡単」「やや簡単」「やや難しい」「とても難しい」「わからない」など異なる5つの尺度から選びます。

測定尺度の違う質問によっては「まったくそう思わない」「あまりそう思わない」「どちらともいえない」「ややそう思う」「とてもそう思う」などを使用し、その結果をまとめることでヘルスリテラシーを測定するのです。

日本でよく使われるのは、「機能的・伝達的/相互作用的・批判的ヘルスリテラシー尺度 (FCCHL)」「伝達的・批判的ヘルスリテラシー尺度 (CCHL)」などであり、5つの選択肢を回答することによりその結果を判定します。

ヘルスリテラシーのサーベイ(調査質問紙)の内容はいずれも健康や医療に関する質問です。例えば、薬の服用指示に従うことが簡単か難しいか、健康情報を理解するのは簡単か難しいかといった質問です。

数十個の質問に回答することで、その人がヘルスリテラシーの能力がどの程度あるかを細かく測定できるといえます。

【健康経営に健康投資が重要な理由】

健康経営に欠かせない要素の一つに「健康投資」があります。

健康経営では企業が戦略的に従業員を健康管理し、実践します。大手のみならず中小企業でも導入する企業が増加しており、生産性向上の手法として知られています。

また、健康経営優良法人として国に認定されることで、健康経営を実践する優良企業としてのステータスを獲得でき、就活生や転職者に選ばれやすくなりるといったメリットもあります。

この健康経営には必ず、具体的な施策や取り組みがあり、それらを総じて「健康投資」と呼びます。健康投資は健康に対する投資なので投資対象が従業員であり、企業そのものでもあるのです。

なぜ投資という言葉の選択なのかといえば、企業にとって健康経営が負担するしかない「コスト」という認識ではなく、あくまでも投資として企業経営を前向きにするためです。このような理由から、「コスト」としてではなく「投資」として捉えることがふさわしいといえます。

➢ データでは見えてこない部分もある

健康経営の課題としては、ステークホルダーに対して健康投資の効果を定量的に示すことが困難であるということです。どのくらいの投資でどれだけのリターンがあるのかが不明瞭であるため、健康経営に投資することを避ける企業もあります。

しかし、重要なのはすぐに効果を実感できる目の前のデータよりも将来的な期待値という部分です。人件費削減DX化による投資などと比べて、健康投資は企業への投資よりも従業員への投資の色合いが強く、投資したことが無駄になりにくいという側面があるのです。

例えば、1つの小さなプロジェクトが失敗すればそのコスト負担は損失となりますが、健康投資は企業組織や社員に財産や効果として蓄積するため、単純なコストパフォーマンスでは計測できません。健康経営の企業として知られることになり、従業員のモチベーション向上や世間からの印象が良くなることなど、業績に数字としてすぐに現れなくてもわかりやすいメリットを導入企業は得られます。

経済産業省「健康投資管理会計ガイドライン」を策定し、PDCAを回せるようにしたり、外部との対話をしやすくしたりすることで健康経営を進めやすくしていますので、ぜひご参照ください。

➢ 業績や株価との相関性がある

もちろん、健康経営の健康投資効果は、全くノーデータというわけでもなく、従業員エンゲージメントの向上による業績アップや株価との高い連動性も示唆されています。

つまり、健康投資は相関的に株価の向上との関係があるといえるのです。他にも優秀な人材が外部に流出しにくくなることで人材確保をしやすくなるでしょう。

➢ 企業の健康投資がヘルスリテラシーを高める構図

ヘルスリテラシーは病院や医師・健康情報から個人が情報を取得するものですが、企業では健康診断ストレスチェックなどの実施などを通してヘルスリテラシーを向上させやすくします。

例えば、メンタルヘルスのケアはもちろんのこと、病気の予防として事前に兆候をセルフで発見する、適度な運動を促して健康増進を促進する、健康・メンタルの調査をするなどです。

従業員自身の健康と医療費を減らす効果はもちろんですが、企業が疾病による保証医療費などの負担を減らすことも期待できます。

➢ アブセンティーズムとプレゼンティーズム

健康投資がヘルスリテラシーを高めるとき、特に「アブセンティーズム」「プレゼンティーズム」の改善は重要な項目です。

まずプレゼンティーズムとは、病気や体の不調などを解消せずに働くパフォーマンス低下の状態です。そして、アブセンティーズムは病気や体の不調などの影響で遅刻・早退や欠勤、休職などが多い仕事のできない状態です。

いずれも従業員の生産性を下げるため、企業が健康投資をするうえで効果指標として設定すべき項目となるでしょう。

パフォーマンスを見える化することで社員のヘルスリテラシー向上のPDCAが回しやすくなるため、投資対効果は抜群です。

【まとめ】

いかがだったでしょうか?本記事ではヘルスリテラシー健康投資の考え方について紹介しました。

ヘルスリテラシーの向上は、従業員の健康を維持・改善するだけでなく、生活の質を向上させ、仕事のパフォーマンスにも影響します。

企業の積極的な健康経営は健康投資を通じて具体的な形となり、ヘルスリテラシーを高め、企業にさまざまなプラスの効果をもたらすのです。

それが結果的に、医療コストの削減や従業員エンゲージメントの向上、優秀な人材の確保に繋がります。

Fairwork surveyでは、精神科医・臨床心理士をはじめとする専門家チームが、健康経営に必要不可欠な指標(従業員エンゲージメントプレゼンティーズム心理的安全性)を調査し、社員の皆様が活き活きと最高のパフォーマンスを発揮することができる企業づくりをご支援いたします。

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