【なぜ企業でマインドフルネス研修を導入すべきなのか?】
企業においてストレスフリーな就労環境が重要視されている昨今、従業員のストレスマネジメントに力を入れている企業が増えています。
これまでは働きやすい環境を提供することが主体となっていましたが、従業員本人によるセルフケアも重要であるという考え方から、さまざまな取り組みが始まりました。
今回は、メンタルヘルスケア施策のひとつである「マインドフルネス研修」について解説します。
多くの企業がマインドフルネス研修を導入するようになった背景や理由に触れるため、ぜひご参考ください。
【マインドフルネス研修とは?】
マインドフルネス研修とは、偏った判断・主観的な偏見を加えず、その瞬間の出来事に目を向けて心を落ち着かせる「マインドフルネス」を実践する研修です。
過去や未来にとらわれず、今の自分についてあるがままを見つめ、受け入れる手法だと言えるでしょう。
近年マインドフルネス研修を導入する企業が増えた背景には、「VUCA時代」の到来によるストレス増大が挙げられます。
VUCAとは「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」の頭文字を取った造語であり、先行きが不透明で、将来予測がしづらい現代のことを表しています。
例えば終身雇用制の崩壊によって人材の流動性が上がり、転職前提のキャリアプランを持つ必要が出てきたことはビジネスマンにとって大きなストレスとなっています。
「成長し続ける」ことができないと、採用市場から取り残されてしまう恐れがあるのです。その分、実力主義で評価してもらえるため若い年代でも稼ぎやすいなどメリットはありますが、「成長し続ける」ことがプレッシャーになってしまう人もいるでしょう。
こうした時代背景を受け、ストレスを抱えるビジネスマンが増えているのです。心身ともに健康な状態で働いてもらえるよう、企業がマインドフルネス研修を導入するようになった理由が分かります。
【企業がマインドフルネス研修を導入すべき理由】
下記では、企業がマインドフルネス研修を導入すべき理由について解説します。
なぜ個人ではなく企業単位でマインドフルネスを導入するのか、考察してみましょう。
①ストレス軽減によるパフォーマンス向上が期待できるから
効果的なマインドフルネス研修ができると、従業員が自分のストレスを軽減できます。
結果としてパフォーマンスが向上し、企業収益が上がる可能性があるでしょうい。
健康日本21推進フォーラム「疾患・症状が仕事の生産性に与える影響に関する調査」によると、メンタル不調を抱えるビジネスマンのパフォーマンスは、メンタルヘルス不調を抱えていないビジネスマンと比較し8.8%程度下がるとされています。
これは年間5人の従業員が離職するのと同等のパフォーマンス低下であり(従業員1000人・平均就業日数200日の企業の場合)、大きな損失だと言えるでしょう。個人にとっても企業にとっても、ストレスフルな状態はメリットがないと分かります。
そのため、マインドフルネス研修によるストレス軽減を狙うのです。
②人間関係が良好になるから
マインドフルネス研修をすることで、共感力・思いやりが向上することも少なくありません。
離職・退職の原因となる職場ストレスとして、必ず上位にあがるのが、職場の人間関係です。
人はストレスフルな環境において、他者を思いやる余裕はなかなか持てないものです。どうしても自分主体の考えになりやすく、「他者を蹴落としてでも自分が楽をしよう」という思考に落ち着いてしまうでしょう。
こうした考えの従業員が増えればチームビルディングができなくなり、最低限の報・連・相がされなくなり、取引先・顧客にも迷惑をかけるなど、さまざまなデメリットが生じます。
そのため、余裕のない自身の状態や周囲との人間関係を、客観的に見つめて受け入れる力を養うマインドフルネス研修は、良好なチームビルディングを目指すうえで実践する価値があるのです。
③従業員満足度が向上するから
マインドフルネス研修によりストレス軽減・共感力や思いやりの向上が得られると、従業員満足度も上がります。
「ストレスなく働けている」「自分が持っているスキルを100%活かせている」という実感を得やすく、ワークエンゲージメントも向上するでしょう。モチベーション高くいきいきした従業員が増えるようになり、社内の風通しもよくなります。
結果的に離職率が下がるなど、採用やマネジメント面でのメリットが得られるかもしれません。人的資本という観点からも、マインドフルネス研修の導入は有効であると分かります。
【マインドフルネス研修を導入している企業事例】
ここからは、実際にマインドフルネス研修を導入している企業を紹介します。どんな狙いで導入したかを知り、自社に当てはめてイメージしてみてはいかがでしょうか。
➢ Google社
Google社では、会社設立9年目という早い段階から「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」というマインドフルネスプログラムを導入しています。
Google独自のプログラムであり、マインドフルネスの考え方だけでなく脳科学・エモーショナルインテリジェンス(EQ)の考え方も入っています。
1日30分程度で完了するコンパクトな研修ではありますが、業務のスケジュールやプライベートの予定に合わせて自由に参加できること、参加自体が強制ではないことから定着しました。
➢ Yahoo!
Yahoo!では、Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」を参考にしたオリジナルのマインドフルネス研修を実施しています。
自身を客観視することに特化したプログラムであり、他者から自分(もしくは出来事)を捉えた場合の視点を加えるよう繰り返し指導してきました。
こうした取り組みは従業員のストレス緩和に役立っただけでなく、「ユーザー目線でのサービス開発」という点にも活きています。
勤務中であっても時間に関係なくマインドフルネスできることが特徴で、悩みやストレスが大きいと自覚したときすぐに実践できることがメリットです。
➢ メルカリ
メルカリでは、社内部活動の一環としてマインドフルネスを実践していたメンバーによる発案がきっかけとなり、今では全社的にマインドフルネス研修を導入しています。
今でこそ誰もが知る企業として成長しているメルカリですが、当初はスタートアップで先行きが不透明でした。
国籍も文化も異なる従業員が同じオフィスで働く多国籍企業であることも加わりミスコミュニケーションが多発するなど、誰もがストレスを抱えるようになっていたようです。
現在ではエクササイズを通したマインドフルネスなど多彩な取り組みがおこなわれ、ウェルビーイングへの貢献を果たしています。
【まとめ】
マインドフルネスは、個人だけでなく企業単位でも取り組む価値のあるプログラムです。
業務やコミュニケーションに集中できる環境を作るためにも、自身で感情をコントロールし、周囲と良好な人間関係を築くうえでも、マインドフルネス研修は非常に有効だと言えるでしょう。
フェアワークでは、ストレスマネジメント研修のほか、ストレスチェックや従業員サーベイ、不調者を早期に発見し適切な支援を届けるためのオンラインカウンセリングなど、メンタル不調予防に効果的な従業員ケアをご支援しておりますので、お気軽にお問い合わせください。