【働かないおじさん問題とは?】大企業が陥りがちな原因と対処について
自社に「働かないおじさん」がいると、若手社員のモチベーションや生産性が低下するなどさまざまなデメリットが生まれます。ほとんどの場合、意欲的に働かないのはやる気の問題であるとして「働かないおじさん」本人がバッシングに遭うケースが多いですが、実は「働かないおじさん」を生みやすい職場があることをご存知でしょうか。
今回は、「働かないおじさん」問題に触れながら原因や対処法を解説します。
働かないおじさん問題とは?
「働かないおじさん」とは、与えられた役割を果たしていないにも関わらず高い給与・役職を得ている社員のことを指します。必ずしも男性社員や中高年社員のことを指すとは限らないものの、巧妙に手を抜いたり若手社員との価値観の違いが明確になりやすかったりするのが男性中高年社員であるとして、この名前がつきました。
似た言葉として閑職に追いやられた社員や周りから評価されず疎まれ続けている社員のことを「窓際族」が挙げられますが、「働かないおじさん」は必ずしもこの条件にあてはまりません。なかには上司・同僚からの評判が高く話題の中心になる存在でありながら、業務パフォーマンスの面では周りに劣るという意味で「働かないおじさん」と呼ばれている人もいます。
「働かないおじさん」が生まれる原因
本人のやる気や熱意がなくて「働かないおじさん」化する人もいますが、実は会社が原因で「働かないおじさん」を生みだしてしまっているケースもあります。
下記では代表的な原因を紹介するので、参考にしてみましょう。
年功序列型の人事評価
年功序列型の人事評価制度を採用している場合、「年を重ねれば努力せずとも評価が上がる」と受け取られてしまい中高年社員のモチベーションを削ぎます。
最低限のルーティンワークだけこなすような働き方になりやすく、新しいことにチャレンジしなくなってしまうでしょう。変化を嫌い、今の環境のまま無事に定年を迎えたいと感じる人も増えていきます。
そのため、意欲を持って働く若手社員と温度差が生じます。「なんであの働き方で高い給料をもらえるのか」と不満が出やすく、働かないおじさんとして揶揄されてしまうのです。
中堅以上の社員に寄せられる過大な期待
働かないおじさんのメイン層である中堅以上の社員に対し、過大な期待を課している場合も要注意です。
ノルマが大きすぎていつも未達になってしまったり、厳しい納期を課して間に合わないことが増えたりすると、若手社員は「成果が伴わない人」と評価されてしまいます。実際には若手社員以上のパフォーマンスを挙げているにも関わらず、「目標未達」という部分にのみフォーカスが当たることで働いていないかのように受け取られてしまうのです。
中堅社員自身は若手以上に働いているという自負があるので、世代間の軋轢が深まる原因にもなってしまうでしょう。「最近の若者は…」「働かないおじさんが…」と不満を言い合うなど、社内の人間関係がギスギスしやすくなるのも特徴です。
加齢に伴う健康状態の悪化
加齢に伴う健康状態の悪化が原因で、成果を出せなくなる中高年社員も多いです。
慢性的な腰痛に悩まされているので定期的に体を伸ばす必要があり、それが若手社員から見ると「ストレッチばかりしていて暇そう」と受け取られてしまうこともあるでしょう。
若いときと比べてどうしても集中力が落ちてしまい、ミスが出やすくなるのも「働かないおじさん」と評価される原因になってしまいます。中高年社員自身は自分の衰えを自覚していないことも多く、なぜ「働かないおじさん」認定されているのかわからないことも多いです。
これも世代間の軋轢を生む要因となり、円滑な社内コミュニケーションを阻害します。
「働かないおじさん」への対処法・予防策
では、「働かないおじさん」が出てしまったときの対処法や今後の予防策はないのでしょうか。
下記でひとつずつ解説しますので、参考にしてみましょう。
成果主義による人事評価の徹底
年功序列による人事評価を取りやめ、成果主義の徹底を図ることがポイントです。「努力して成果を出せば誰でも高く評価してもらえる」と実感できれば、一度出世コースから外れてしまった中高年社員でも精力的に働けます。
定年後のことを見据えてより多くの収入を得ておきたいから努力したり、自己実現が正しく評価される楽しさを自覚したり、よいサイクルが出来上がっていくでしょう。また、「手を抜けば評価が落ちてしまう」という危機感も与えられるので、働かないおじさんだけでなく若手社員に与えるポジティブな影響も大きくなります。
ただし、年功序列での評価に慣れた人のなかには、将来上がる年収幅を想定して自宅購入などライフイベントを叶えている人もいます。急激な舵取りをして従業員のライフプランが崩れるなど、本末転倒なことが起きないよう対策しておくことが大切です。
健康経営に着手する
生活習慣病を予防するため、運動・食事・睡眠を会社単位で見直すことも大事です。
自らの老化を明確に意識していない中高年社員でも、健康診断やストレスチェックを使って状態を可視化できれば改善のきっかけがつかめるようになるかもしれません。
また、「ひとりで運動するのはつらいが同僚と一緒なら楽しみながら頑張れそう」「社食を利用することが多いので栄養を意識したメニューの増設がありがたい」と感じる人もいます。繰り返しているうちに体調や心身の不調(プレゼンティーズム)を抱える社員が減り、中高年社員でも業務に集中しやすくなるかもしれません。
健康経営には「働かないおじさん」を減らす以外にも多くのメリットがあるので、適用の幅を拡大しながら続けていくのが理想です。
自社のミッションと個人のミッションを一致させる
「働かないおじさん」は、自分が所属する会社のミッション・ビジョン・バリューを意識できていないことが多いです。
入社のタイミングで一度学んだつもりでも、20~30年以上同じ会社に在籍し続けていると社会的な意義を見失いやすく、惰性だけで働いても問題なくやりくりできるようになってしまうのです。そのため、あらためて研修や1on1ミーティングの場を設けるなど工夫し、自社のミッションを改めて意識させていきましょう。
個人のミッション・価値観と一致する部分があれば高い共感を得られるので、自然とモチベーションも上がります。「この会社で働けていることが誇りである」と感じてもらえるくらいエンゲージメントを高めることができれば、脱「働かないおじさん」化が進むのです。
エンゲージメント施策を取る
自社に対するエンゲージメントが向上すれば、「会社に貢献したい」と考える前向きな気持ちが育ちます。業務へのモチベーションも上がるので、周囲から「働かないおじさん」と評価されることもなくなるでしょう。
また、世代間ギャップを埋めながら教育できる新人育成プログラムを検討してくたり、フランクに話せる先輩社員として頼りにされたりすることも多いです。「働かないおじさんだから」と無暗に評価を下げるだけでは、閑職に追いやられた窓際族化してしまいます。
労使トラブルのもとになることも出てくるので、根本原因であるエンゲージメント施策に力を入れていくのが理想です。
まとめ
「働かないおじさん」は、年齢・役職・給与に比べて著しく成果の悪い社員を指す言葉です。若手社員からの反感を買う存在になりやすく、世界間ギャップの原因にもなるので注意しておきましょう。
年代ごとの従業員エンゲージメントやモチベーションを可視化したいときは、組織サーベイの運用が役に立つでしょう。
フェアワークでは組織サーベイツールの提供だけでなく、健康で風通しの良い職場環境づくりをサポートしていますので、職場環境改善のために何か始めようというときには、ぜひお気軽にご相談ください。