【ストレスチェック80項目版とは?】設問内容と実施メリットを解説

ストレスチェックは常時50名以上の従業員が在籍する全事業場に義務づけられていますが、具体的な質問項目や数を義務づける法律はありません。
そのため厚生労働省がサンプルとして提示している57項目版の「職業性ストレス簡易調査票」に基づいて実施する企業が多いですが、実はさらに項目数の多い「80項目版」があることをご存知でしょうか。
今回は、ストレスチェックの代表的な項目数を解説しながら、80項目版のメリット・実施時のポイントを紹介します。(⇒80項目版ストレスチェックを資料請求する)
ストレスチェックの項目数は3種類

まず、ストレスチェックの代表的な項目数は3種類あることを知っておきましょう。下記でひとつずつ解説します。
【23項目版】
ストレスチェック23項目版は、後述する57項目版を簡略化したものです。仕事のストレス要因・心身のストレス要因・周囲のサポートの3つを軸として掲げており、最低限のストレスチェックができます。
設問数が少ないので、ストレスチェックを受ける従業員側の負担を非常に軽くできることが特徴です。集計する手間もかからないので、実施者側の負担も少ないでしょう。平均して、回答にかかる時間は3~5分程度です。
ただし、従業員のストレス状態を細かく判定しその後の職場環境改善に活かすには、少々心もとないかもしれません。「実施義務があるため、最低限のストレスチェックだけ実施したい」という事業場向けであり、形式的な実施になりがちなので注意が必要です。
23項目版の質問項目として、厚生労働省から下記の通り提示されています。
【57項目版】
ストレスチェック57項目版は最もベーシックなボリュームであり、多くの企業で採用されています。
前述した23項目と同じく仕事のストレス要因・心身のストレス要因・周囲のサポートの3つを軸としていますが、より細かな調査が可能です。平均して、回答にかかる時間は5~10分程度です。
職場のストレス要因と本人のストレス要因を網羅的に調べやすく、高ストレス者判定もより正確に出せます。
57項目版の質問項目は、厚生労働省から下記の通り提示されています。
【80項目版】
ストレスチェック80項目版は、項目のレパートリーから最も精密な調査が可能です。平均して、回答にかかる時間は10~15分程度です。
職場に対するエンゲージメント・モチベーションやハラスメントの有無・職場環境の捉え方などを複合的に調査できるので、職場風土の課題の把握としても活用できます。
健康経営や従業員のウェルビーイング支援を重視する会社で導入が広がっており、職場環境改善のヒントを見つけやすいことが魅力です。
(※ストレスチェックの集団分析と職場環境改善の手引きについては、下記資料をご参照ください!)
ストレスチェック80項目版の追加項目

ストレスチェック80項目版では、57項目版に以下の23項目が追加されています。
- 感情面で負担になる仕事だ
- 複数の人からお互いに矛盾したことを要求される
- 自分の職務や責任が何であるか分かっている
- 仕事で自分の長所をのばす機会がある
- 自分の仕事に見合う給料やボーナスをもらっている
- 私は上司からふさわしい評価を受けている
- 職を失う恐れがある
- 上司は、部下が能力を伸ばす機会を持てるように、取り計らってくれる
- 上司は誠実な態度で対応してくれる
- 努力して仕事をすれば、ほめてもらえる
- 失敗しても挽回(ばんかい)するチャンスがある職場だ
- 経営層からの情報は信頼できる
- 職場や仕事で変化があるときには、従業員の意見が聞かれている
- 一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ
- 人事評価の結果について十分な説明がなされている
- 職場では、(正規、非正規、アルバイトなど)いろいろな立場の人が職場の一員として尊重されている
- 意欲を引き出したり、キャリアに役立つ教育が行われている
- 仕事のことを考えているため自分の生活を充実させられない
- 仕事でエネルギーをもらうことで、自分の生活がさらに充実している
- 職場で自分がいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)
- 私たちの職場では、お互いに理解し認め合っている
- 仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる
- 自分の仕事に誇りを感じる
これらの項目について、23項目版・57項目版と同じく4つの選択肢から回答します。
内容を見ていると、ネガティブな質問だけでなくポジティブな質問が増えているとわかります。また、23項目版・57項目版にはなかったハラスメント・いじめ・不当評価などの質問も追加されており、対面でのヒアリングでは言いづらいことも聞き出せます。
コンプライアンス意識の高い企業から評判がよいのは、上記のようなことが関係しているのです。
職場環境改善のヒントにつながるような項目もあり、組織の課題や強みを見つけたいときにもおすすめです。上司のラインによるケアに役立てるなど、ストレスチェック実施後のメリットも多いと言えるでしょう。
ストレスチェック80項目版を実施する際のポイント

最後に、ストレスチェック80項目版を実施する場合のポイントを解説します。「ただ回答を集めただけ」など形骸化しないよう、対策していきましょう。
➢ 実施の目的を明確にする
なぜ23項目版・57項目版ではなく80項目版で実施するのか、改めて目的・意義を明確にしておきましょう。
最も従業員の本音を拾いやすく、さまざまな角度から自社組織や従業員のストレス状況を見直せるのが80項目版です。
そのため、80項目版を採用するほとんどの企業は「職場環境を改善するためのヒントがほしい」「自社組織の課題を明確にしたい」という思いから導入に至ります。
回答が集まった後は特に数値が低い・高い項目を分析したり、ハラスメントなど致命的な項目が出ていないかチェックしたり、役立てていきましょう。
➢ 年代・役職などに細分化して分析する
個人分析や部門(組織)ごとの分析だけでなく、年代・役職・地域などに細分化し角度を変えて分析することも大切です。例えば若手従業員の満足度が著しく低い場合、上司との人間関係や教育・育成体制に問題があると予想できます。
反対に管理職の満足度が低ければ、その後のキャリアパスを提示できていなかったり業務負荷が集中しているなどの要因が考えられます。
ストレスチェックは個人のストレス状態や組織全体の課題を浮彫にするため使うものですが、角度を変えるだけでより効果的な集団分析が可能になるのです。
➢ 可能な限り短時間で回答できる工夫をする
ストレスチェック80項目版は、質問が多い分回答に時間がかかります。平均して約10分程度ですが、業務の手を止めて実施する以上、可能な限り短時間で回答できるよう工夫しておく必要があるでしょう。
例えばモバイルワークやテレワーク中の社員が手軽に回答できるよう、Web上で回答を募る取り組みが効果的です。スマートフォンやタブレットからも閲覧できるようマルチデバイス対応に配慮しておけば、より回答しやすくなるでしょう。従業員側の手間も考えて実施することで、回答率は自ずと上がります。
(※ストレスチェックの集団分析と職場環境改善の手引きについては、下記資料をご参照ください!)
【まとめ】
ストレスチェックには、23項目版・57項目版・80項目版が存在します。職場環境改善のヒントや多角的な集団分析をしたいときは、80項目版を採用するとよいでしょう。
フェアワークが提供しているストレスチェックシステム「Fair-lead」は、57項目版・80項目版で質問紙・WEBのどちらの受検にも対応しています。組織改善に役立つレポーティングの自動生成、マルチデバイス対応はもちろん、産業医と連携や高ストレス者に対する面接指導サポートにも対応可能です。
今年度のストレスチェックの実施にあたって、気になっている点についてまずはお気軽にご相談ください。(⇒まずは無料相談してみる)