【人事評価制度の作り方】導入メリットや企業事例を解説!
人事評価制度とは、自社が定める評価基準に基づいて従業員を評価し、給与・役職などに反映していく取り組みです。
効果的な人事評価制度を構築できれば従業員エンゲージメントの向上、モチベーション向上につながります。その一方で、自社オリジナルの評価項目や評価基準を作ることが難しく、難航しやすいことがデメリットだと言えるでしょう。
今回は、自社に合った人事評価制度の作り方を解説します。導入のメリットや実際の企業事例についても触れますので、ぜひ参考にしてみてください。
【自社に合った人事評価制度を導入するメリット】
まずは、自社に合った人事評価制度を導入するメリットを解説します。人事評価制度の手法を知ることも大切ですが、自社が思い描く人的資源育成の理想像に合っているかを重要視し、選定していきましょう。
➢ 公正・公平な人事評価をする体制が作れる
特定の上司による好き・嫌いだけで評価されることや、贔屓を集める従業員がスキルや経験に関係なく昇進・昇格してしまうことを防げます。
公正・公平な人事評価をする体制が整い、客観性のある結果としてまとまりやすくなるでしょう。不平不満を解消するという意味でも、誰もが納得する人事評価制度を構築しておくことがおすすめです。
また、万が一重大なミス・トラブルが生じて処罰しなければいけなくなったときでも、人事評価制度が確立されていれば迷うことがありません。人によって待遇が違うなど不公平な扱いがなくなり、最適な運用ができるでしょう。
➢ 評価結果に納得しやすく組織全体へのエンゲージメントが上がる
公正・公正な人事評価制度があることで、評価結果への納得感が上がります。
「会社がそう評価しているのであれば、実際に自分のレベルはこれくらいなのだろう」と素直に受け止めやすくなり、会社への信頼感が上がります。最終的に組織全体のエンゲージメントが向上することにもつながるため、不満を抱えて離職する人が減るという効果も期待できそうです。
また、例え自分が想定していたよりも結果が低かった場合でも前向きに捉えやすいことがメリットです。ギャップを埋めるための努力を喚起しやすく、パフォーマンスが向上する可能性もあります。
➢ 努力の方向性が分かりやすくなるため業務モチベーションが上がる
人事評価の内容を適切にフィードバックすることで、個人レベルに求める努力の方向性が分かりやすくなります。
例えば、将来マネジメントとして活躍することを期待している人と、技術職として現場の最前線で最新技術をどんどん取り入れてほしい人とでは、着手すべき業務が異なるでしょう。会社が期待していることと本人の希望をしっかりすり合わせる時間を取れれば、納得感高く業務に邁進しやすくなります。
また、「会社が自分に期待してくれている」という前向きなプレッシャーを感じることで、モチベーションが上がる効果も期待できます。人事評価制度が整っていないままフィードバックだけ実施してしまうと、却って不満や違和感ばかりが蓄積する可能性があるため、制度構築を優先した方がよいでしょう。
➢ 結果を見ながら人事異動案を作るなど最適な人材配置ができる
人事評価制度を整えることは、人事部・労務部など管理部門にも大きなメリットを与えます。
結果を見ながら人事異動案を作れば、最適な人材配置がしやすくなるでしょう。適性・スキル・経験に合わせて「適材適所」の配置を意識することで、パフォーマンスの最大化が狙える確率も上がります。
その後の採用・育成計画立案など人的資源の活用戦略にも役立つため、人事評価制度の構築がいかにメリットの高いものであるか分かります。
【人事評価制度を作る5つのステップ】
ここからは、実際に人事評価制度の作り方を解説します。
ステップごとに細分化しながら説明していくため、自社に導入した場合のイメージを膨らませながら目を通してみましょう。
1. 評価項目をピックアップする
まずは自社が従業員に期待していている内容や理念・理想から、評価項目をピックアップします。
営業成績など目で見える定量的な結果を重視するのか、業務と向かい合う姿勢やモチベーションなどを重視したいのかによって内容が異なってくるため、ブレストしながら決めていくとよいでしょう。
代表的な評価基準として、下記のようなものが挙げられます。
- 能力評価:技能・技術・知識など業務遂行に必要なスキルがあるか
- 成果評価:査定機関における定量的な実績・業績が高いか
- 情意評価:姿勢・意欲・チームへの貢献度合いなど定性的な実績が高いか
評価基準ごとに項目を細かく設けていくことで、より具体的な評価体制が整います。
2. 評価手法を決定する
紙で評価するのかオンライン上で評価するのか、上司による評価だけに留めるのか360度評価のように多角的な評価体制にするのか、評価手法を探っていきます。
タレントマネジメントシステムなどを導入しておけば、複数拠点にまたがる上司やテレワーク中の社員がいても手軽にオンライン上で人事評価することができるでしょう。進捗状況も可視化しやすく、細かな催促や空欄での提出などエラーもなくせます。
また、360度評価など多角的に評価できる体制があれば、ひとりの主観に頼らない人事評価が叶いやすくなります。ただし、人事評価の工数が増えることやお互い無難な評価のつけ合いになってしまいやすいことには十分注意し、対策をしておく必要があるでしょう。
3. 一部の部署でシミュレーションを実施する
評価項目と評価手法が定まり次第、一部の部署の協力を得てシミュレーションをおこないます。
基準通りに人事評価してみたとき、今評価の高いとされている人材の数値が本当に高くなるか、意図せぬ結果にならないかなど見直しを繰り返していきましょう。想定と異なるポイントがあれば評価項目がズレている可能性があるため、再度検証をおこないます。
なるべく多くの人の協力を得て実施すべきですが、全社的におこなってしまうと却って混乱の元となるため、バックオフィスなど人事に近い部署で実施してみることをおすすめします。
4. 人事評価制度の導入を周知する
内容が定まり次第、人事評価制度の導入を周知します。
社内SNS・社内報・社内ポータルサイト・グループウェアなどをフル活用し、情報格差なく内容を理解できるよう情報発信していきましょう。人事評価制度の内容だけでなく、意義・目的・狙いに至るまで詳しく解説し、理解と共感を得ることも重要です。
変更が楽しみになるような周知ができれば、ひとまず成功だと言えるでしょう。場合によっては現場から質問が寄せられる可能性もあるため、期間には余裕を持っておきます。
5. 実施・改善
実施後はPDCAサイクルを回しながら効果の検証・改善を図ります。
評価項目をコロコロ変えすぎてしまうと却って方向性を見失うケースがあるため避けるべきですが、社運をかけた大きなプロジェクトや理念の変更などがあれば評価項目も変更していきましょう。
また、実施後は都度フィードバックをおこない、現場のリアルな声を収集することも大切です。人事部と現場との間にギャップや認識のズレがないか確認しながら、定着まで根強く実施していきましょう。
【人事評価制度に関する企業事例】
最後に、新しい人事評価制度を導入した企業の事例を紹介します。
自社に合ったオリジナルの人事評価にしたい場合は、参考にしてみましょう。
➢ 株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、「定量評価(OKR)」を重視した人事評価制度を導入しています。
OKR(=Objectives and Key Results)とは、「目標=Objectives」と「主要な結果=Key Results」を設定しておこなう目標管理手法のことです。Googleでも導入していることで有名な手法であり、あえて達成率が60~70%になるようなハイレベルな目標を掲げ、パフォーマンス向上を狙う施策とされています。
2013年設立の若い企業でありながら、近年急成長を続けている秘訣が見て取れます。
➢ ダイキン工業株式会社
ダイキン工業株式会社は、時代のニーズに対応する企業として成長するため、AIやIoT関連の知識レベルを持つ管理職に高い人事評価をつける対策をしています。
営業・事務・マーケティングなど全ての部署で最低限のIT知識を持つべきであるという危機感から導入した制度であり、より昇進・昇給するためには知識の習得が不可欠になっています。
従来通りの成果主義型の評価体制はそのままに、新しい観点を加えて企業成長を狙った事例だと言えるでしょう。
【まとめ】
自社の理念・理想に合った人事評価制度の構築は、従業員エンゲージメントやモチベーションの向上に寄与します。「この会社に貢献したい!」という前向きな気持ちを育むためにも、新しい人的資本育成戦略として取り入れてみるとよいでしょう。
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