【人材育成に必要なスキル】目標や課題を考えるうえで大切なこと

【人材育成に必要なスキル】目標や課題を考えるうえで大切なこと

業種・職種を問わず、自社人材を育成してスキルアップさせることに注力する企業が増えています。人材育成によるメリットは、従業員本人の昇進・昇給や自信づけだけに限りません。企業側にも複数のメリットがあるので、自社の課題に合った人材育成計画を立てるのが理想的です。

今回は、人材育成に必要なスキルについて解説します。人材育成の目的にも触れるので、参考にしてみましょう。

目次

人材育成とは?

人材育成とは、従業員に業務上必要なスキル・知識・経験を身につけさせる施策のことです。
例えば、下記のようなことが人材育成施策に該当します。

  • 業務上必要な専門知識を学ぶため、勉強会を開催する
  • 資格や免許の取得を支援する
  • 外部セミナーの受講費用を会社が負担する
  • コミュニケーション向上に向けた研修を実施する
  • 先輩社員のノウハウを後輩や部下に共有する
  • ナレッジを蓄積して、従業員の誰でも情報にアクセスできるようにする
  • ジョブローテーションさせながら、ゼネラリストを育成する

つまり、従業員のスキルアップにつながる施策は全て人材育成に該当すると考えてよいでしょう。実施施策は自社の課題・目的に応じてアレンジするのが望ましく、上記以外にもオリジナリティあふれる施策を導入している企業もあります。

人材育成の目的

人材育成の目的

人材育成をすることで、従業員だけでなく会社も大きなメリットを実感できます。
下記で代表的なメリットを4点リストアップするので、人材育成の目的を理解したいときに目を通してみましょう。

① 生産性や業務効率が向上する

業務に必要な知識・経験を習得させることで、生産性や業務効率が上がります。専門知識があるからこそミスなく業務を処理できたり、限られた時間で効率よく仕事を進められたりする効果が期待できます。

また、コミュニケーションロスが発生しにくく連携が可能になるなど、チームパフォーマンスの向上にもつながるのです。

スキルアップして自信を持てるようになった従業員が増えれば、今までにない新たな提案が社内から出てくるかもしれません。イノベーションが起きやすい環境になるので、ニーズやトレンドの変化が激しい現代社会において自社に競争力を持たせる要因になります。

② 顧客から評価され事業収益が向上する

従業員の育成に成功すると、クオリティの高い商品・サービスを得られるとして顧客からの評価が高まります。結果的にリピーターの増加・単価の上昇・良い口コミを聞いた新規顧客の獲得など、事業収益の改善につながるのです。

また、「専門知識が豊富で頼りになる」「期待以上の提案をしてくれて助かっている」などの声が集まり、顧客満足度が向上することも多いです。収益がよくなれば金融機関からの評価が高まるなど思わぬメリットも受けられるので、特に意識しておきましょう。

③ 優秀な人材を獲得しやすくなる

人材育成に力を入れている企業は就職(転職)市場での評判がよくなり、優秀な人材を獲得できます。「この会社であれば自分が成長できそう」「キャリアアップに最適な環境かもしれない」と評価してもらうことができ、求人に応募が殺到するケースも少なくありません。

また、効率よく母集団形成できるので、人事部の負担が軽減されるというメリットも得られます。優秀な人材を雇用することと、採用工数を減らすこと、2つのメリットがあるとわかります。

④ 従業員が定着する(退職率が下がる)

従業員のニーズにマッチした人材育成をすることで、従業員の定着率が上がります。優秀な人材が流出せず残ってくれるので、年数を重ねるごとに教育・育成にかかるコストが下がります。

個人のモチベーションエンゲージメントも高まりやすく、生産性に貢献するなどポジティブなサイクルが出来上がっていくでしょう。新規人材の獲得だけでなく、既存従業員の安定・定着という効果も発揮されるのです。

【年代別】人材育成で伸ばすべきスキル(カッツモデル)

【対象別】人材育成で伸ばすべきスキル

アメリカの経済学者であるロバート・カッツ氏が提唱した「カッツモデル」では、育成の対象者を細分化しながら必要なスキルが提唱されているのでチェックしてみましょう。
下記では、カッツモデルに倣って人材育成において伸ばすべきスキルを解説します。

若年層:テクニカルスキル

入社したばかりの新入社員や若年層は、テクニカルスキルを伸ばすのが理想です。テクニカルスキルとは「技術力」と訳されることもあり、業務遂行に最低限必要な知識とイメージしてみるとわかりやすいでしょう。

具体的には、下記のようなスキルを指すことが多いです。

  • 事務処理能力
  • 数的処理能力
  • 接客力
  • 営業力
  • 商品知識
  • 機械・車両操作能力

テクニカルスキル向上の際は、職種ごとに細分化しながら研修をすることが多いです。営業職であれば提案力や説明力を、マーケティング職であれば市場分析力や情報収集力を伸ばすとよいでしょう。ビジネスマナーやコミュニケーションなどどの職種にも共通して必要なことは全体研修で取り上げるなど、アレンジすることも可能です。

中堅層:ヒューマンスキル

管理職・リーダーなど中堅層は、ヒューマンスキルを伸ばすのがおすすめです。ヒューマンスキルとは、人とのコミュニケーションに必要なスキルを総称する言葉です。

具体的には、下記のようなスキルが該当します。

  • コミュニケーション能力
  • プレゼンテーション能力
  • リーダーシップ能力
  • ヒアリング能力
  • コーチング能力
  • クレーム対処力
  • 傾聴力
  • 交渉力

組織の潤滑油としての働きを期待される中堅層は、特にコミュニケーション能力が重視されます。経営層の考えを正確かつ確実に部下に伝達したり、部下の不満・不安を吸い取って解決策を示したりすることには、全てコミュニケーション能力が必要です。

部下のモチベーションを最適にコントロールするためにも、特に欠かせない能力と思っておきましょう。また、コミュニケーション能力の高い中堅層がいると関連部門や取引先からの信頼を集めすく、組織を円滑に機能させることも可能です。

経営層:コンセプチュアルスキル

社長・役員など経営層は、コンセプチュアルスキルの習得に尽力するのがポイントです。コンセプチュアルスキルは「概念化能力」とも呼ばれ、自社の内情や市場を俯瞰して分析する力のことを指します。主観にとらわれず客観的に情報収集し、組織にとって最適な意思決定をするスキルでもあるのです。

コンセプチュアルスキルを支えるのは、下記のような力です。

  • 論理的思考力(ロジカルシンキング)
  • 批判的思考力(クリティカルシンキング)
  • 水平的思考力(ラテラルシンキング)
  • 柔軟性
  • 需要性
  • 洞察力
  • 先見性
  • 知的好奇心

経営層は、顧客ニーズの変化競合他社の動向従業員のエンゲージメントなど多数の観点でリスクやチャンスを判断する必要があります。間違いのない経営判断をするためにも、コンセプチュアルスキルは必須の項目だと捉えておきましょう。

まとめ

人材育成とは、従業員に業務上必要なスキル・知識・経験を身につけさせる施策のことです。具体的な施策は企業により異なりますが、従業員のスキルアップを支援するような施策にするのが一番の近道と言えるでしょう。

また、従業員が抱えている課題に合った人材育成をおこない、ミスマッチをなくしていくことも大切です。従業員が抱えている課題を可視化するには、従業員サーベイの運用が役に立つでしょう。業務上の躓きや、会社に対するエンゲージメントを可視化し、自社の課題にあった人材育成手法を検討していきましょう。

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