【マミートラックとは?】モチベーション対策をして離職防止!

マミートラックとは

妊娠・出産を経ても働き続けてくれる人は非常に貴重な存在であり、どの企業に取っても貴重な戦力となるでしょう。

しかし働く側が同じ気持ちであるとは限らず、なかにはマミートラック状態に陥っていることに悩んで離職してしまう人も少なくありません。

今回は、マミートラックに関する基礎知識を解説します。

具体的なマミートラック事例モチベーション対策の施策にも触れますので、女性社員の働きやすい職場つくりを考える際にぜひご参考ください。

目次

【マミートラックとは】

マミートラックとは、産休・育休明けの女性が出世コースから外れてしまう現象を指します。

「マミー(=お母さんの)」「トラック(=競争路)」という名前の通り、陸上などで使われるトラックを延々と周回しているような感覚に陥ることから問題視されるようになりました。

産休・育休を取得するのは女性が多いことからマミートラックとすることが多いですが、育休から復帰した男性が同様の状態に陥った場合も同じ意味で「パピートラック」と呼ばれます。

【マミートラックの具体例】

マミートラックの具体例

ここでは、実際にマミートラックの具体例を紹介します。

過去にマミートラックに悩んだ人や企業からの声もピックアップしますので、自社を振り返りながら参考にしてみましょう。

➢ 時短社員だと昇進・昇格の可能性が狭まる

産休・育休明け社員は子どもを保育園にお迎えに行かねばならず、通勤時間やライフプラン次第では時短社員のまま働き続けることも少なくありません。

企業によっては時短社員の昇進・昇格が限定されており、可能性が狭まるケースもあるでしょう。

「総合職でないと昇進はできない」「キャリアアップを考えるのはフルタイムに戻ってから」と言われるなど、働きぶりとは別の側面で評価されることに不満を抱えることも多いのです。

子どもが3歳(もしくは小学校進学)を迎えてもフルタイムに戻れる見込みが立たないのであればなおさら、評価されないまま働き続けることにモチベーションが下がってしまいます。

より評価してくれる会社に転職するか、収入を得るためだけにパフォーマンスは度外視して働く状態に陥りやすいことも問題だと言えるでしょう。

➢ 単純作業しか任せてもらえなくなる

子どもの体調不良や家族の都合などで、当日急遽休むことが増えることから、責任のある仕事を任せてもらえなくなることもあります。

これまで関わっていたビッグプロジェクトから外されたり、他の社員より担当クライアント数を極端に減らされるなど、本人の希望とは異なる待遇になることもあるでしょう。

これまで培ってきたスキルや経験を活かせない単純作業ばかりな毎日に辟易し、自分が抱くキャリアパスとのズレに落ち込んでしまう人も少なくありません。

理想と現実のギャップに悩んで退職してしまうケースも多く、せっかく復職してくれた戦力を手放すことになりかねないのです。

➢ 部下や後輩に抜かされる焦燥感が出る

産休・育休中に勤務を続けていた部下や後輩に役職で抜かされ、やり場のない焦燥感に駆られることもあるでしょう。

勤続年数や年齢に縛られることなく実力主義で評価している会社だからこそ発生するギャップではありますが、マミートラックに陥っている場合、後からでも抜き返せるビジョンが持てなくなるでしょう。

努力する意義を見失い、日々モヤモヤを抱えたまま何となく目の前の仕事だけをこなしてしまいかねません。

場合によっては逆恨みによる人間関係の崩れや、遠慮による社内コミュニケーション不足が生じることもあります。

役職を抜いた側の後輩も気を遣うことが多く、仕事に集中しづらい職場環境になるのです。

【マミートラックを防止するための施策】

マミートラックを防止するための施策

マミートラック予防施策を考える際は、マミートラックの問題点を正しく認識しておくことが欠かせません。

実力に基づいた正当な評価をしたうえで昇進・昇給できない場合や、保育園へのお迎えの時間を考えて物理的に担当できないプロジェクトがある場合は、大きな問題にはならないでしょう。

しかし、本人が抱くキャリアビジョンと会社の方針にズレがあり、ズレの内容や対策を正しく共有できていない場合はエンゲージメントが下がります。

下記ではエンゲージメントモチベーションを上げながらマミートラックを防止する施策を紹介します。

➢ 社内アンケート等で現状を正しく把握する

マミートラックが起きていても、経営層や人事部が正しく現状を認識することは難しいとされています。

直属の上司はむしろ産休・育休明け社員の働き方に配慮し、よかれと思ってプロジェクトから外したり簡単な作業を命じたりしているケースも多いです。

また、不満を抱えている産休・育休明け社員本人は「休職させてもらったから」「大きすぎる責任を課されても応えられるか分からないから」という負い目や不安を抱えており、正面から直談判できない心理が働きます。

そのため、産休・育休明け社員に広く社内アンケートを取り、現状を認識することが第一歩です。

  • 産休・育休前の仕事内容と相違があるか
  • 明確なキャリアビジョンを描けているか
  • 思い描いていた仕事に携われているか
  • 正しく評価してもらえているという満足感があるか

などさまざまな角度で調査をしていけば、これまで気づかなかった自社の課題に気づけるかもしれません。

➢ 働きやすい環境づくりをする

産休・育休明けの社員でも働きやすいよう、環境を構築することが重要です。

例えば、下記のような施策が挙げられます。

  • 全員参加の会議を夜ではなく昼に実施する
  • 裁量労働制を導入し、時間に縛られない働き方を促進する
  • リモートワークを導入し、フルタイム勤務しやすくする
  • サテライトオフィスを利用し、通勤時間を短縮させる
  • フレックス制度によるフレキシブルな働き方を叶える
  • ベビーシッター利用代金の補助など、子育て関連の福利厚生を充実させる
  • 企業内託児施設を設けて、働き手を確保する
  • ワークシェアリングやチーム制を導入し、業務の属人化を防ぐ

上記のような施策はマミートラック対策として有効なだけでなく、働き方の多様化を支えることにもつながります。

男性社員の働く道が広がったり、自社に対するエンゲージメントが高まって勤続率が上がったりする効果も期待できるため、人事・労務関連の問題を複数抱えている企業であれば導入してみるとよいでしょう。

➢ 成果主義の人事評価制度を構築する

時短など限られた範囲で働いている社員にも、成果主義による人事評価制度を適用することが大切です。

基本給が働いている時間に応じて減額されたとしても、短い時間で高いパフォーマンスを発揮している社員をしっかり評価していけば、昇給の道が見えてくるでしょう。

努力するモチベーションにつながりやすく、フルタイムに戻してもっと会社のために貢献しようというエンゲージメントも生まれます。

残業が美化されてきた時代は終わりに近づいているとはいえ、まだまだ働いた時間の長さで評価を決めてしまう企業は少なくありません。

どれくらいの時間でどんな貢献をしてくれたのか可視化できる仕組みが整っていれば、成果主義型の人事評価がしやすくなるでしょう。

マミートラック対策をひとつのきっかけとして、取り組んでみることをおすすめします。

【マミートラック対策する際の注意点】

マミートラック対策する際の注意点

マミートラック対策をする際は、キャリアプランが人により異なることに注意しておきましょう。

責任感のない仕事や昇進・昇格が期待できない仕事を続けることでモチベーションが下がる社員もいれば、とりあえず生活費だけ無難に稼げればいいという社員もいます。

どちらが正しいということはなく、それぞれが抱くキャリアプランによる差だと理解しておきましょう。

ただし、会社が期待する働き方と社員の理想像にズレがある場合は、1on1ミーティングなどで解消していく必要があります。

まずは社員が抱いているキャリアプランをヒアリングし、理想とする働き方を知ることから始めましょう。

また、会社が社員に何を求めているか、ミッション・ビジョン・バリューや今後の経営戦略を浸透させつつ伝えていくことも欠かせません。

自分が何を期待されているか分かれば社員自身も努力しやすくなり、モチベーションやパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

「会社に目をかけてもらえている」ということも心理的安全性につながるため、産休・育休明け社員とのコミュニケーションはより密におこなうことがポイントです。

【まとめ】

マミートラックは、「理想の働き方と現実のギャップ」により起こります。

産休・育休明け社員は子育てと仕事のバランスで悩むことも多く、個別のフォローやヒアリングをするとよいでしょう。

結果として産休・育休から復帰した後によりエンゲージメントが向上したり、復帰後の早期退職を予防できたり、さまざまな効果が現れます。

FairWork surveyは、社員のエンゲージメント・モチベーション・退職兆候・幸福度を可視化できるツールです。

産休・育休明け社員と人事部・上司との間に壁があると感じている企業は、FairWork surveyによる組織サーベイをしてみてはいかがでしょうか。

Fairworkは、精神科医・公認心理師をはじめとする専門家チームが健康経営の推進をご支援いたします。

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