【高度プロフェッショナル制度とは?】対象業務やメリットについてわかりやすく解説

【高度プロフェッショナル制度とは?】対象業務やメリットについてわかりやすく解説

2019年4月から、高度プロフェッショナル制度が施行されました。

残業や休日出勤の適正化が求められる昨今のニーズを汲みつつもパフォーマンス重視の働き方ができるとして、複数の業種・職種で導入されています。

今回は、高度プロフェッショナル制度について詳しく解説します。

メリット・デメリットや効果的に制度を活用する方法にも触れるため、導入検討時にお役立てください。

目次

【高度プロフェッショナル制度とは?】

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識を持ち一定の年収(※2022年5月現在で1,075万円)を満たす労働者を、労働基準法に定める労働時間規制の対象から除外する働き方です。

ホワイトカラー特有の働き方であることから「ホワイトカラーエグゼンプション」と呼ばれることも多く、下記の通り職種が限定されています。

  • 金融工学の知識を用いておこなう金融商品開発業務
  • 資産運用・有価証券の売買・金融商品のディーリング業務
  • 有価証券の分析・評価・投資に関する助言など(アナリスト業務)
  • コンサルタント業務
  • 研究・開発業務
  • 取材・編集業務
  • 公認会計士・弁護士・社会保険労務士などの士業
  • 企画・立案・調査業務

上記の職種に共通する項目として、労働時間とパフォーマンスの関連性が低めであることが挙げられます。

短時間でも高いパフォーマンスを挙げられたり、早朝・深夜・祝祭日であっても臨機応変に稼働したりすることもあるでしょう。

残業や休日出勤の規定を細かく定めようとする昨今のニーズと反する職種でもあり、制度に縛られない柔軟な働き方が重視されています。

そのため高度プロフェッショナル制度を適用して労働時間規制の対象から外し、働きやすさを上げようとする動きが取られているのです。

【高度プロフェッショナル制度のメリット】

高度プロフェッショナル制度のメリット

下記では、改めて高度プロフェッショナル制度のメリットを解説します。

高度な専門知識が必要な職種に適用するからこそのメリットを知り、自社に適用の可能性があるか探っていきましょう。

①生産性が上がる

高度プロフェッショナル制度を導入すると、労働時間の長さによる人事評価から解放されます。

パフォーマンス・成果・実績主体の評価ができるようになり、インセンティブ制による報酬形態に切り替えやすくなるでしょう。

そのため、高いパフォーマンスを短時間で発揮しようと考えるモチベーションを喚起でき、生産性の向上に貢献します。

企業にとっては収益が向上するメリットが、個人によっては人事評価の公平性のメリットが現れるのです。

②ワークライフバランスを実現できる

労働基準法が適用されない高度プロフェッショナル制度では、出社・退社の時間を労働者本人が自由に設定できます。

出勤する曜日なども自由なため、ワークライフバランスを実現しやすくなるのです。

観光地でテレワークしながら働くリゾートワークや、休暇を取りながら働くワーケーションも叶います。

育児・介護・自身の療養と両立させながら働きたい人とも相性がよいでしょう。

③現時点以下の賃金にならない

高度プロフェッショナル制度では、対象となる労働者の賃金を減らしてスタートしてはならないと決められています。

そのため、これまで賃金に含まれていたみなし残業代が除かれ、実質の手取り報酬が減るなどのトラブルが生じません。

現時点の賃金をキープしつつ、さらに高い賃金を目指してパフォーマンス向上を狙いたいときに導入しやすいのです。

【高度プロフェッショナル制度のデメリット】

高度プロフェッショナル制度のデメリット

高度プロフェッショナル制度にはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。

下記では高度プロフェッショナル制度のデメリットに触れるため、導入前によく検討してみましょう。

①長時間労働が常態化する

高度プロフェッショナル制度を導入すると労働基準法に定める労働時間規制の対象から除外されるため、長時間労働が常態化する可能性があります。

高いパフォーマンスを発揮できれば短時間労働でも高収入を得られる一方、働き方次第では早朝・深夜も土日祝日も関係なく働くことになりかねないのです。

時間に関係なく働ける職種であるからこそ、長く働き続けてしまうリスクがあることを知っておきましょう。

ただし、健康確保措置におけるインターバル制度は適用されます。

終業時間と始業時間までの間に一定の時間(おおむね8~12時間程度)を確保する制度であり、連続して何十時間も働くことはありません

②残業手当や深夜手当がなくなる

前述の通り、高度プロフェッショナル制度を導入すると労働基準法の適用外となるため、残業代・深夜手当がなくなります。

成果や業績に見合わない長時間労働が常態化していても残業代が得られず、働く時間と収入とのバランスが取れていないように感じるケースもあるでしょう。

深夜手当についても同様で、毎日深夜に働き昼から夕方にかけて休む働き方をしていても、割増賃金が支払われることはありません。

そのため、短時間で高いパフォーマンスを発揮することが前提の働き方だと言えるでしょう。

「残業代を支払わなくても済みそうだから」という狙いで高度プロフェッショナル制度を導入した場合、メンタルヘルスの悪化過労を招く可能性があるため要注意です。

③人事評価が難しくなる

高度プロフェッショナル制度は、成果主義による人事評価を前提としています。

成果主義による人事評価のノウハウがなく、年功序列型または労働時間重視の人事評価に偏っている場合、統一した評価をすることが難しくなるでしょう。

「高いパフォーマンスを上げているのに報酬に反映されない」と不満を集めやすく、高度プロフェッショナル制度を導入したメリットが薄くなってしまいます。

また、研究・開発などの目に見える形で成果が現れるまで数年かかる職種も少なくありません。

どう評価すれば公平・公正か、従業員の意見も聞きながら考案していく必要があります。

【高度プロフェッショナル制度を効果的に活用する方法】

高度プロフェッショナル制度を効果的に活用する方法

最後に、高度プロフェッショナル制度を効果的に活用する方法を紹介します。

デメリットを限りなく抑え、メリットを最大限受けるための手法としても活用できるため、今後導入を検討している場合はぜひご参考ください。

➢ 定期的に産業医との面談を実施する

高度プロフェッショナル制度のデメリットとして、長時間労働が常態化する可能性が挙げられています。

労働基準法が適用されないとはいえ、企業には従業員の安全・健康を守る「安全配慮義務」が課せられていることを意識しておきましょう。

万が一長時間労働が不安視される従業員が出た場合、定期的に産業医と面談することがおすすめです。

実際に労働安全衛生法第66条および労働安全衛生規則第52条では、「1週間あたりの健康管理時間が40時間を超えており、超過時間が月100時間を超えた高度プロフェッショナル制度適用者」に対して医師による面接指導の実施を義務づけています。

また、ストレスチェックを実施する(または実施回数を増やす)ことにより、表面化しづらいメンタルヘルス問題を浮き彫りにする手法も効果的です。

産業医と連携する機会も増えるため、検討してみましょう。

(ご参考:【ストレスチェックの結果が高ストレスだった社員への対応策】

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【ストレスチェックの結果が高ストレスだった社員への対応策】 労働安全衛生法の改正により、2015年12月より50名以上従業員がいる事業所におけるストレスチェックが義務化されました。 既に多くの企業で実施されている取り組みであり...

➢ パルスサーベイによるコンディションの把握に努める

パルスサーベイとは、アンケート形式で実施できるコンディション調査です。

慢性的な体調不良を抱えて働くプレゼンティーズムや幸福度を可視化でき、健康やメンタルに不安のある従業員を早期発見しやすくなるでしょう。

また、数値が悪化していると気づけばセルフケアもしやすくなり、働き方を見直すきっかけにもなります。

>>パルスサーベイについては、下記の記事でも解説しています。

(ご参考:【パルスサーベイとは?導入する意味やメリットについて】

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【まとめ】

高度プロフェッショナル制度は時間に縛られず柔軟に働ける方法である一方、使い方によっては長時間労働の常態化を招きかねません。

安全配慮義務を徹底するためにも従業員のコンディションを正確に把握し、産業医との連携も視野に入れながら適切な運用をするのが理想です。

FairWork surveyでは、長時間労働者などのメンタルヘルスやパフォーマンスの可視化が可能です。

弊社では産業医・顧問医契約や職場改善コンサルティングも実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。

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