【人事考課制度とは?】評価基準や目標の例文、面談の役割について解説!
成果や努力を正しく評価するためには、自社に合った人事考課制度の確立が求められます。
動機づけ施策としても有効でありモチベーションを向上させられるほか、適材適所な人事配置が叶う・社員の能力開発に貢献するなど、人事考課によるメリットは多いものです。
今回は、人事考課制度の評価基準・目標例を紹介します。人事考課後に実施する面談の目的にも触れるため、参考にしてみましょう。
【人事考課とは?人事評価との違いと、評価基準】
人事考課とは、実績・成果・業務遂行能力・コミュニケーション能力・意欲・関心・勤怠などさまざまな項目で従業員を評価する制度です。昇進・昇給の材料となるだけでなく、報酬・賞与を決める参考にもなるため、従業員の関心を集めることが多いでしょう。
他社評価だけでなく自己評価を加味する点が「人事評価」との違いであり、公平・公正な評価制度づくりに貢献しています。
人事考課の評価基準
人事考課の際は①「業績考課」、②「能力考課」、③「情意考課」に分かれる3つの基準を採用するケースが一般的です。
下記でひとつずつ内容を確認していきましょう。
①業績考課とは
業績考課とは、人事考課のなかで唯一定量評価に基づく基準です。
売上高・リピート率・解約率・経費の削減率・採用人数など、部署ごとに設定された目標の達成状況が問われます。長く企業を存続できるよう収益性確保に向けた項目であり、成果重視の企業であればあるほど業績考課の割合が高くなります。
②能力考課とは
能力考課とは、目的達成を叶えられるようなスキルがあるか個人ごとに評価する基準です。
さらに下記4項目に細分化して評価することが特徴です。
- 保有能力:知識・経験・ノウハウ・ナレッジなどの深さを問う
- 発揮能力:スキルを正しく使ってパフォーマンスを上げる力を問う
- 潜在能力:まだ成果として現れないポテンシャルや可能性を問う
- 業務遂行能力:持っているスキルを活かし業務をおこなえているか問う
おおまかに、知識を持つこと・使うことに重きが置かれているとわかるでしょう。いかに自分の能力を発揮するか、弁えて対策している人であれば能力考課が高くなる傾向にあります。
③情意考課とは
情意評価とは、業務への熱意・意欲など「やる気」を評価する基準です。
こちらも下記4項目に細分化して評価されます。
- 規律性:社内規則などのルール・社会的なモラルを守れているか問う
- 積極性:満足せず常に上を目指すハングリー精神を問う
- 責任制:与えられた仕事を最後までやり通す粘り強さを問う
- 協調性:チームメンバーと円滑なコミュニケーションが築けているか問う
まだ入社して日が浅い新入社員でも、情意評価は高い数値を出すことがあります。実績ではなく姿勢を評価する項目であり、人材投資のために設けられている項目とも言えます。
【人事考課で設定する目標の例文】
人事考課をするに当たり、事前に組織として評価基準をつくり、それにマッチする目標を定めます。
目標は個人ごとに異なるため正解はありませんが、自分と会社の方向性が合っていること、過去よりも成長できるような目標にすることを意識します。もちろん担当する業務内容ごとに変動することも多く、直属の上司とすり合わせながら作成するとよいでしょう。
代表的な目標として、下記のような例文が挙げられます。
- 事務職の場合
- 年間〇%の経費削減に貢献する
- マニュアルを整備し業務効率化を図る
- 有給消化率を〇%上げる施策を開始する
- 営業職の場合
- 売上額の昨対比110%を達成する
- 解約率を3%以下に抑える
- 1日5件訪問し月10件の成約を得る
- 広報職の場合
- SNSでの露出率を10%上げる
- 公式Twitterのフォロワー数を1,000人増やす
- LPの改善によってコンバージョン率の10%向上を目指す
目標は必ずしも定量的なものである必要はありません。数値目標があった方がわかりやすいことは事実ですが、「今月は30分以上の残業をゼロにする」などパフォーマンスに直接影響しないものでもよいでしょう。
明らかに達成が簡単すぎる(難しすぎる)内容になっていないかだけフィードバックし、あとは会社の方針と個々の理想の照らし合わせに終始するのがおすすめです。
【人事考課後に実施する面談の役割】
人事考課後には1on1ミーティングなどの面談を開始し、個別にフィードバックすることがポイントです。
下記では、面談の役割を確認していきましょう。ただ「目標達成できなかった言い訳の場」として活用することのないよう、配慮することが大切です。
➢ 評価内容をフィードバックするため
まずは従業員にとって最大の関心事である人事考課の内容をフィードバックし、なぜその結果になったのか理由も添えて伝えます。
結果を知らせるだけにしてしまうと、「上司の一方的な好き嫌いが人事考課に反映されていないか」「なぜこの結果になったのか」と疑問が残ってしまうでしょう。正当かつ透明性のある人事考課であると証明するためにも、どの項目で何点を獲得したのか、どんな行動が点数に反映されているのか、細かく伝えることがポイントです。
フィードバックの質が高いと、たとえ思うような人事考課でなくとも高い納得感を得られます。人事考課に関する質問もでき、心理的安全性も向上するでしょう。
➢ 会社の方針と個人の理想を突き合わせるため
会社が目指す方針やミッション・ビジョン・バリューを改めて周知し、共感を得る場として面談を活用することも効果的です。そのうえで従業員個人が抱く理想・キャリアプランと突き合わせ、どこがマッチしているか確認してみるとよいでしょう。
「会社のために働くことが自分のためになる」という意識が根付けば、パフォーマンス向上に向けたモチベーションが上がります。自社で働くエンゲージメント向上施策としても役立つため、人事考課後に面談する意義が感じられます。
➢ 従業員のモチベーションを調査・向上させるため
「人事考課しただけ」にせず、個別に時間を取って対話することにより、従業員のモチベーションやエンゲージメントを把握しやすくなります。
特に1on1ミーティングにはモチベーションの変化や気持ちの揺らぎを早期発見する意味が含まれており、人事考課後の面談にも同じことが当てはまります。「最近仕事との向き合い方にちょっと悩んでて…」という本音がポロリとこぼれることもあるでしょう。
従業員から上司を呼び出して相談するハードルは高く、人事考課後面談のように「必ず開催されているとわかっている場所」だからこそ相談できることは意外と多いのです。ここで効果的な声かけができれば、従業員のモチベーション・エンゲージメントを向上できるでしょう。本人の悩みに傾聴・共感し負担を軽くすることも、マネージャーの重要な役割です。
人事考課と同時期に組織サーベイをするなど対策しておけば、事前にモチベーションやエンゲージメントを可視化して面談に臨むことができ、その後の施策の定点評価にも活用できます。
【まとめ】
公平な評価基準を設けた人事考課制度があれば、「頑張りが正しく評価される会社」として従業員に支持されます。エンゲージメントやモチベーションが上がるため、会社にとっても従業員にとってもメリットのある取り組みとなるでしょう。会社の方針と本人の目標を照らし合わせながらフィードバック面談すれば、より効果的な時間として使えます。
FairWork surveyは、従業員のモチベーションやエンゲージメントを可視化できる組織サーベイツールです。人事考課に納得して業務を遂行しているか、その後の態度改善につながっているか知りたいときにも、フィードバック面談をするマネージャーの負担軽減にも役立つため、導入をご検討してはいかがでしょうか。
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