【パーパス経営とは?企業がパーパス・ドリブンな経営を行う意味について】
近年、経営戦略や企業ブランディングのキーワードとして、「パーパス経営」が叫ばれるようになりました。競合他社に勝利して企業収益を上げるだけなく、自社の活動に意味や目的を設け、存在価値の高さでアピールする企業が増えているのです。
今回は、パーパス経営について詳しく解説します。
パーパス・ドリブンな経営をおこなう意味や社会的背景にも目を向けるため、自社の方向性を見直したいシーンでお役立てください。
【パーパス経営とは?】
パーパス経営とは、自社のパーパス(存在意義)に基軸を置いた経営手法を指す用語です。
何のために自社があるか、自社における活動を通して世の中にどんな影響をあたえたいかなど、企業活動の目的を重視する手法として話題になりました。
いわゆるインナーブランディングのひとつでもあり、自社が提供する商品・サービスのよさではなく、自社そのもののよさをアピールする際に有効です。
消費者や取引先企業に対するイメージ向上施策になるほか、自社従業員のモチベーションやエンゲージメント向上施策としても有効であるとして、パーパス経営に着手する企業は年々増えています。
【パーパス経営をする狙い】
では、パーパス経営をする狙いはどこにあるのでしょうか。
メリットや効果を知り、パーパス経営ならではの特徴を把握していきましょう。
➢ 商品・サービスに付加価値をつけて収益向上を図る
まず、企業としての存在意義を増やしたり広くアピールしたりすることで付加価値を生み出し、収益向上を図る狙いが挙げられます。
近年、大量生産・大量消費社会になったことで、お金さえあればどんな商品・サービスでも購入できるようになりました。競合となる企業も多く、消費者の選択肢が増えている時代だと言えるでしょう。
このような時代のなかで、消費者の価値観が「物を所有すること(サービスを受けること)」から、「購買体験を通した特別な体験」に切り替わりつつあります。
例えば、ただ服やバックを買うのだけでなくエシカルな購買体験ができれば、サービスの付加価値が上がるでしょう。有名なファッションブランドがアイテムの購入だけでなくレンタルもできるようにしたことで、大量生産・大量消費を防ぐ「環境に優しい企業」として認められるようになりました。
また、寝たきりの人がロボット操作による接客をおこなうカフェを活用することで、誰でも働ける労働多様性を支援することもできます。介護サービスと開発企業がパートナーとして生み出したサービスであり、注目度も高まりました。
こうした取り組みの背景には、「捨てられてしまうファッションアイテムを削減したい」「誰でも働ける社会を築きたい」という、企業ごとのパーパスがあります。
何のためにそのサービスを生み出すのか徹底的に考えることで、結果として消費者にも受け入れられやすくなるでしょう。
➢ 従業員エンゲージメント向上を図る
従業員のエンゲージメント向上には、自社が掲げるパーパスに深く共感してもらうことが欠かせません。
人や社会の役に立っている実感があったり、自分の理想とする行動と自社のパーパスがマッチしていたりする場合、自然と業務パフォーマンスも上がるでしょう。
仕事を頑張る意義・目的が見出せるため、企業単位ではなく個人単位での目的にもなるのです。
反対に、パーパスが明確になっていない場合、従業員が働く意義を見失いやすくなります。
自社ならではの特徴が掴めず、同じような企業であればどこでもいいと考え、と転職の機会も増えてしまいます。
従業員全員で同じ方向性を向いて努力できるよう統率し、高い生産性を上げることや教育コストおよび採用コストを削減するという意味でも、パーパス経営には大きなメリットがあると分かるでしょう。
➢ 投資家からの評価を上げる
サステイナブル、エシカル、SDGsなど、企業と社会・環境の関わりが注目されるなか、共感されるパーパスを持つことは、投資家からの評価向上にもつながります。
これまでは「高い収益を上げること」が投資基準の最も重要な項目とされてきましたが、社会問題を解決すること、時代やトレンドに合った消費者ニーズに対応していること、従業員の働きやすさやエンゲージメントにも配慮していることなどが、新たな評価基準に加わりつつあるのです。
また、心理的にも「応援したい企業」として捉えられやすく、企業イメージも向上します。
結果として、パーパス経営をすることは安定経営につながるということです。
消費者・従業員・投資家にとっても、パーパス・ドリブンな経営は十分意味のあることだと言えるでしょう。
【パーパス経営をするときに企業がやるべきこと】
パーパス経営をするときに欠かせないのは、企業と従業員間でパーパスを共有することです。
マーケティングの一環として自社のパーパスを広く消費者・投資家に周知する手法も有効ではありますが、パーパスを従業員に周知・浸透できていければ、「掲げただけの目標」になってしまうでしょう。実態として存在価値を認識するには至らず、形式的なものになってしまいます。
ここでは、パーパス経営をするときに企業がやるべきことについて、改めてチェックしていきましょう。
①パーパスの設定をする
まず、パーパスの設定をします。
パーパスは一見するとミッション・ビジョン・バリューと似ていますが、違いを明確にしておくことが大切です。
ミッション(=使命・任務)は、自社が「何をするか」を示す指針です。ビジョン(=展望・理想像)は「今後自社が実現したい未来の姿」を、バリュー(=価値・価値観)は「自社の姿勢」を表す用語です。
一方でパーパスは、前述の通り存在価値を表す用語であり、「なぜ」に当たる言葉だと言えるでしょう。
なぜそのミッシング・ビジョン・バリューなのか、なぜこの会社でこの活動をするのか根本を考え、言語化していくことが大切です。
②パーパスを従業員に周知・浸透させる
経営層間での共有ができたら、次に従業員への周知・浸透を図ります。
全社員が同じパーパスを持てていれば自社としての方向性がブレることもなく、高いパフォーマンスやモチベーションが期待できるようになるでしょう。
ミッション・ビジョン・バリューと同じく、パーパスまで深く浸透させることが大切です。
トップダウン式での浸透に加え、社内報でのピックアップ、eラーニングによる研修、パーパス経営に関する知識のインプット、日常的なパーソナルミーティングなど、実行できる手法は複数あります。
短期間で全社員に浸透させるのは非常に難しいですが、長期的な目線で取り組み、少しずつ自社文化として根付かせる取り組みを始めましょう。
③従業員エンゲージメントの数値を可視化する
最終的に、自社従業員がきちんとパーパスを理解しているか、エンゲージメントにきちんと反映されているか、効果測定をする必要があります。
万が一期待通りの効果が得られていない場合、前述1.のパーパス設定もしくは2.の周知・浸透に問題があると考え、再検討することができるでしょう。反対に、期待通りの効果が得られていればパーパス経営のとっかかりとして成功していることが分かり、今後更なる生産性・収益向上が望めます。
とはいえ、エンゲージメントを数値として可視化することは難しいものです。
上司による聞き取り調査だけでは「よく見せよう」という心理が働き、無意識のうちに本質が隠れてしまうこともあるでしょう。また、従業員本人でも自分のエンゲージメントが高いか低いか分かっておらず、正しいフィードバックができない可能性もあります。
そのような場合には、エンゲージメントを調査できるツールの導入がおすすめです。
定期的にアンケートを取るなどして全体調査をすれば、部署・年代・役職ごとの差も含めて可視化することができるでしょう。まずは自社に合ったツールを選定し、納得できるパーパスとして浸透できているか、調べてみることがおすすめです。
【まとめ】
パーパス経営とは、自社のパーパス(存在意義)に基軸を置いた経営手法です。
「なぜ」「何のために」を従業員と共有したうえで経営活動ができれば、消費者からも投資家からも評価される企業として成長できるでしょう。
パーパスが浸透できているかを測る方法として、エンゲージメント調査ツールを導入する方法もあります。
組織サーベイ 「FairWork survey」にはエンゲージメントやモチベーションを可視化する機能が備わっているため、気になる方はお気軽にお問い合わせください。