【ワークライフバランスとは?】目的と課題、企業の取り組み事例について
ワークライフバランスとは、ワーク(仕事)とライフ(生活)のバランスを取り、どちらも支障なく両立させることを目指す取り組みです。
近年は働き方改革の一環としてワークライフバランスの実現施策を取る企業が増え、オリジナリティのある取り組みも目立つようになりました。
今回は、そもそもなぜワークライフバランス実現を叶えるべきなのか、企業側から見たときの目的を解説します。
ワークライフバランス実現に当たりぶつかりやすい課題や企業事例にも触れるので、参考にしてみましょう。
ワークライフバランスを実現させる目的
早速、ワークライフバランスを実現させる目的を3点ご紹介します。
なぜワークライフバランスの実現が企業のメリットにつながるのか、理由を探っていきましょう。
① 生産性が向上する
無理なく仕事とプライベートとの両立ができれば、生産性が向上します。
例えば、残業・休日出勤ばかりで慢性的な疲労が抜けない場合、集中力・体力ともに失われてしまいます。
出勤はしているものの体調不良で生産性が落ちる(プレゼンティーズム)を抱える従業員が増え、社内の活気も損なわれてしまうでしょう。
ワークライフバランスを実現させるとオンとオフの切り替えがはっきりしやすく、集中しやすい環境を作れます。
イノベーティブなアイディアや自発的な相談も増えやすくなり、生産性が上がるのです。
② 人材の確保・定着が図れる
若手を中心にワークライフバランスを重視する人が増え、企業選びの際に福利厚生・社内制度・休暇の充実度合いが見られるようになりました。
従来のように「ハードだが給料は高い仕事」が必ずしも魅力的に映らなくなるなど、労働市場のニーズも変化しています。
つまり、ワークライフバランスの実現は、優秀な人材の確保・定着にも役立つということです。
十分な休暇を得ながら働きたい優秀な人材や、短時間しか働けないが専門的なスキルを持つワーキングペアレンツなど、多彩な人材から評価されやすくなるでしょう。
社内に多様性が生まれ、これまでにない企画ができるなど思わぬ副産物もありそうです。
③ 社外からの評判が高くなる
持続可能な生産活動をする企業の評価が高まっている昨今、ワークライフバランス実現施策に成功している企業は社外からの評価も高くなります。
例えば、これから選考を受ける求職者や新卒学生からの評判が高まれば、採用市場における母集団形成がしやすくなるでしょう。
顧客から評価してもらえれば自社ファンを増やしやすく、取引先から評価してもらえれば円滑かつ協力的な関係性を強化できます。
ときには金融機関や投資家から評価されるなど、資金調達に役立つこともあります。
さまざまなステークホルダーに評価されたいときこそ、自社の環境を見直してみることがおすすめです。
ワークライフバランス実現を考えるときの課題
ワークライフバランスの実現に多数のメリットがあるとはいえ、実現に苦慮する企業が多いことも事実です。
どのような点でつまづく企業が多いのか課題を知り、自社のケースにあてはめてイメージしてみましょう。
経営陣が意識改革できない
ワークライフバランス実現のためには、経営陣や部署長などリーダーシップを取る人の意識改革が必要です。
働きやすい環境や十分な休暇が生産性向上に貢献すると頭ではわかっていても、既存の価値観や社風から抜け出せない人も多いでしょう。
特に長年自社に在籍しつづけている人や、自分が若いときに残業・休日出勤しながら成果を上げてきた人にとって、新しい価値観に馴染むのは容易ではありません。
ワークライフバランスの実現によりどの程度の利益が得られるか、可能であれば可視化してみるのがよいでしょう。
また、ワークライフバランスを実現したいと考える従業員と直接対話し、リアルなニーズを探っていくことも大切です。
導入方法が迷走しやすい
ワークライフバランス実現に向けた手法は数限りなく、自社に合った導入方法がわからなくなってしまう企業も多いです。
手探りで複数の施策を打つも従業員のニーズとギャップがあり成功しなかったり、時間と手間ばかりかかって本業が疎かになってしまったりすることもあります。
また、十分な環境を整えないままテレワークを導入したことで却ってミスやトラブルが増大するなど、失敗してしまうケースもあるので注意しましょう。
自社がワークライフバランスを実現したい本当の目的が何かを見定め、それに合った施策を考案することがポイントです。
効果測定が難しい
ワークライフバランス実現施策は、効果測定が難しいとも言われています。
残業時間数や休日出勤日数など可視化しやすい数値データを効果測定に使うのが理想ですが、従業員満足度やエンゲージメントなど本人でも自覚していない可能性が高い心の部分を可視化するのは容易ではありません。
可能であれば、個人のコンディションを可視化するサーベイツールや社内アンケートを活用し、見えない部分の効果測定をしていきましょう。
PDCAサイクルを回しながら改善を繰り返す材料にもなるので、「やりっ放し」にしないことが大切です。
ワークライフバランスを実現させた企業事例
最後に、ワークライフバランスを実現させた企業の事例を紹介します。
さまざまな取り組みがあることを知り、どんな施策にするべきかイメージを膨らませていくのがおすすめです。
株式会社メルカリ|Sick Leaveの取得
株式会社メルカリでは、Sick Leave(シックリーブ)と呼ばれる休暇制度を独自に設けています。
病気・怪我を事由とした休暇を年10日まで有給休暇とは別に付与する制度であり、安心して療養に望める体制を強化しました。
また、自身の療養のみならず家族やペットの看病にも適用されるので、育児・介護を抱える従業員からも高く評価されています。
株式会社サイバーエージェント|女性活躍促進制度macalon
株式会社サイバーエージェントでは、女性従業員向けに9つの施策をパッケージングした「macalon(マカロン)」を始めています。
具体的には、下記のような施策をしているのでチェックしてみましょう。
- 女性特有の体調不良時に月1回まで休暇を取れる「エフ休暇」
- 不妊治療中の女性が月1回まで休暇を取れる「妊活休暇」(男性も取得可能)
- 妊活に興味のある女性を支える「妊活コンシェルジュ」
- 卵巣刺激・採卵・凍結保存の費用を最大40万円まで負担する「乱視凍結補助」
- 子どもの急な発病・登校禁止期間などに使える「キッズ在宅制度」
- 卒業式・運動会・発表会などに半日休暇を年2回取得できる「キッズデイ休暇」
- 認可外保育園費用の一部を負担し職場復帰を支援する「認可外保育園補助」
- パパママ社員が近隣地域の情報交換をする「おちか区ランチ」
- パパママ社員の多様な働き方を紹介するメディア「パパママ報」
サイバーエージェントならではの取り組みが多く、女性社員の定着や活躍を支持していることがわかります。
まとめ
ワークライフバランスが実現すると、生産性向上・人材定着・ステークホルダーからの評価などさまざまなメリットが得られます。
ただし、効果測定が難しいなど課題となる部分も多く、導入後のことも考えた施策にすることが求められます。
フェアワークでは、従業員満足度やエンゲージメントを可視化する組織サーベイツールを提供しています。
自社のワークライフバランス施策が従業員のニーズに合っているか確かめたいとき、お気軽にご活用ください。
フェアワークは産業医・臨床心理士をはじめとする専門家チームが、企業の健康経営推進をご支援いたします。
ストレスチェックや組織サーベイの実施、職場カウンセリング(EAP)まで、まずはお気軽にお問い合わせください。