【ワークエンゲージメントとは?高める方法とその尺度】
近年、「ワークエンゲージメント」という考え方が、人的資本経営に欠かせない視点として注目を集めています。
企業規模や業種を問わずどの企業にも必要な指標であり、ワークエンゲージメントを高めることがウェルビーイングな組織運営に必要となってくるでしょう。
今回は、ワークエンゲージメントという考え方について解説します。
ワークエンゲージメントを高める方法や尺度についても触れますので、エンゲージメント向上施策を検討中の方はぜひチェックしてみてください。
【ワークエンゲージメントとは】
ワークエンゲージメントとは、「働くこと(=ワーク)に対する愛着心(=エンゲージメント)」を指す言葉です。
働くことそのものに前向きかつ意欲的な場合は、ワークエンゲージメントが高いと表現できるでしょう。
反対に、生活のため嫌々働いている場合や「なるべく働きたくない」という考え方が根底にある場合は、ワークエンゲージメントが低い状態だと言えます。
似た言葉として上げられる「従業員エンゲージメント」が自社に対する愛着心であるのに対し、「ワークエンゲージメント」は労働そのものに対する愛着心だとイメージすると分かりやすくなります。
【ワークエンゲージメントを計る尺度】
ここでは、ワークエンゲージメントを構成する尺度を紹介します。
具体的にどんな要素が揃うとワークエンゲージメントが高くなるのか知るためにお役立てください
①熱意
ワークエンゲージメントを構成するひとつの尺度として、「熱意」が挙げられます。
ひとつひとつの業務に対する関心・意欲が高く、自発的に取り組む姿勢がある場合、ワークエンゲージメントが高いと言えるでしょう。
仕事に誇りややりがいを感じており、前向きに熱中できる姿勢があればなおさらです。
新しいことにも挑戦しようというチャレンジ精神や、ニュースやトレンドをチェックしてアイディアを発信するなどの積極性も見られます。
②没頭
2つ目の尺度として、「没頭」が挙げられます。
仕事に集中してのめり込むことが楽しく、時間が早く感じられるようであれば没頭している状態にあると言えるでしょう。
プライベートでも仕事のことに関連付けて思考する機会が多く、働くことをポジティブに捉えていることが分かります。
業務への集中力が高いときや、ミス・抜け・漏れなどのヒューマンエラーが少ない人も没頭状態にあると言えるでしょう。
③活力
3つ目の尺度として、「活力」が挙げられます。
業務上必要なコツコツとした努力を厭わず、自己成長への第一歩だと捉えて前向きに捉えられる場合、活力みなぎる人材として評価されるでしょう。
仕事をしていると力がみなぎってくるような感覚があったり、仕事で成功することが何よりも嬉しく感じられるような場合も、活力を養いやすくなります。
困難な状況に直面したときの粘り強さもあり、簡単に諦めない人材であると言えそうです。
【ワークエンゲージメントを高める方法】
ここでは、ワークエンゲージメントを高める方法をいくつかピックアップします。
働くことを楽しいと思ってもらい、個々が発揮できる最大限のパフォーマンスを期待するためにも重要な視点です。
最終的に自社への愛着心を高める従業員エンゲージメント向上施策につながるケースもありますので、導入を検討してみましょう。
➢ 適材適所の人員配置をおこなう
適材適所の人員配置をおこない、個々のパフォーマンスを最大限発揮できるよう対処する方法です。
同じ会社に所属していても従業員ひとりひとりの特性は異なるため、まずは人材ごとの強みを可視化するところから始めましょう。
自分が持っているスキル・経験・知見・資格を発揮できる部署に配属してもらえることで、自分への期待が高まっているように感じる人も少なくありません。
前向きなモチベーションを喚起しやすく、仕事へのやる気も上がっていくでしょう。
反対に、適性に合った人員配置ができていないと業務効率が下がりやすくなります。
非効率な仕事をしていたり業務フローの構築が上手くできなかったりするケースもありますので、ワークエンゲージメントだけでなく最適な組織運営のためにも欠かせない視点だと言えます。
➢ 社内コミュニケーションを活性化させる
社内コミュニケーションを活性化させ、業務上必要な情報共有をシームレスに実行する方法です。
どんなにモチベーション高く働いていても、最低限必要な情報がチーム内で共有されなかったりミスコミュニケーションが原因で仕事のやり直しが頻繁に生じたりする場合、どうしても不満が募りやすくなります。
当然ながらセクハラやパワハラなどコンプライアンスに違反するような一方的なコミュニケーションがされている場合も、ワークエンゲージメント低下の原因につながります。
そのため、チャットやオンラインミーティングなどのツールを導入して気軽なコミュニケーションを促進したり、社内イベントや部活動などを通して業務の枠を超えた交流を生んだりすることが効果的です。
会社が楽しくなれば働くことも自然と楽しくなると心得て、対処法を練っていきましょう。
➢ 企業理念やミッション・ビジョン・バリューを浸透させる
企業理念やミッション・ビジョン・バリューなど、会社が目指す方向をきちんと明示し、浸透させましょう。
自分が所属している会社が社会的に意義のある取り組みをしていると感じられているのであれば、自然とワークエンゲージメントが高まります。
反対に、どんなに社内評価が高くても、自分がしていることが社会の役に立っているという実感が得られない場合はワークエンゲージメントが低くなるでしょう。
ときには顧客や取引先から寄せられるよい評判をフィードバックするなど、確かな手ごたえを実感させることもおすすめです。
「誰かの役に立っている」というシンプルな喜びが、仕事へのやりがいにつながります。
➢ 業務に最適なオフィス環境にする
業務に最適なオフィス環境を作り、没頭しやすい場所を作ることも大切です。
斬新なアイディアを出し合うブレインストーミング向きのオープンな会議室を用意したり、反対に頭を使う複雑な作業に集中できるような個室型のワークスペースを用意したりするとよいでしょう。
その日の席をくじ引きで決定するフリーアドレス制や社食サービスなどを導入し、福利厚生面で出社を楽しくするような取り組みをする方法もあります。
また、危険性の高い業務を担う企業であれば、職場の安全対策を徹底することも不可欠です。
高所作業や有害作業を伴う現場であっても安心できるか、地震があっても倉庫の備品や什器が倒れてこないか定期的にチェックすることで、職場の安全に対する信頼感が高まります。
目の前の仕事に集中してもらうための取り組みをおこない、ワークエンゲージメントを高めていきましょう。
➢ メンタルヘルスや退職兆候に十分配慮する
日常的に組織サーベイをおこない、従業員のメンタルヘルスや退職兆候に十分配慮することも効果的です。
個人が抱える悩みや不安を会社が敏感に察知してフォローできる体制を整えておくことで、「会社が自分を気にしてくれている」という安心感を持つことができるでしょう。
会社に対するエンゲージメントが上がるだけでなく、モヤモヤとした悩みを払拭することで仕事に集中しやすくなり、ワークエンゲージメントも向上します。
ただし、これらの対策は会社側から積極的におこなう必要がある点に注意しておきましょう。
特に「メンタルや退職に関して相談することは後ろめたい」と感じる人が多く、隠そうとするケースも少なくありません。
1ヶ月単位などこまめなサーベイをしながら経過を見て行くことが欠かせませんので、便利なツールを導入しながら管理していくことが重要です。
【まとめ】
ワークエンゲージメントとは、仕事に対する「熱意・没頭・活力」が揃った状態のことを指します。
「働いていることが楽しい」という前向きな気持ちを維持しやすく、多少の困難やトラブルがあっても折れないモチベーションを築けるでしょう。
高い業務パフォーマンスを期待したい会社こそ、ワークエンゲージメント向上施策が必須だと分かります。
FairWork surveyは、社員のエンゲージメントやモチベーションを可視化できるサーベイツールです。
モチベーションの低い社員や退職兆候のある社員にいち早く気づいたり、反対にエンゲージメントの高い社員の共通要素の調査も可能です。
自社に所属して働くこと自体を幸福だと感じてもらえるような取り組みをするためにも、ぜひお役立てください。
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